日遠

日遠（にちおん）の生涯

日遠は元亀3年（1572年）に京都で生まれる。
本名は石井で、字は尭順、号は心性院や一道として知られています。彼は江戸時代前期の日蓮宗の僧侶として重要な存在でありました。

教えを受ける

若い頃、日遠は本満寺の日重に師事し、日蓮宗の教えを深く学びました。日重のもとで受けた教えは、彼の後の活動に大きな影響を与えました。やがて、彼は徳川家康の側室である養珠院の帰依を受けたことが、彼の宗教的な活動において重要なポイントとなりました。

講主としての活動

1600年、日遠は飯高檀林の講主に就任します。この時期には、宗教間の論争が盛んに行われていました。1608年に江戸城で行われた慶長宗論では、日蓮宗は浄土宗に敗北し、これに対して徳川家康は日蓮宗の本山寺院に誓状の提出を要求しました。

信念の貫徹

日遠は、「四箇格言」を捨てて誓状を提出することを拒否しました。彼のこの姿勢は、日蓮宗の教えに対する強い信念を反映していました。しかし、徳川家康は彼を謀反者として見なし、安倍川河原での磔刑を命じました。この時、養珠院が日遠の信者として嘆願し、彼の命は救われました。

本遠寺の創建

慶長14年（1609年）には、現在の身延町大野に本遠寺を創建しました。この寺院は後に養珠院の息子たちによって整備され、養珠院の墓所もここに設けられました。

論争と隠棲

その後、1630年には江戸城で行われた身池対論において、受布施派の立場で不受不施派との論争に臨むと、日遠は不受不施派を破って勝利しました。この成功は、日遠にとって重要な意味を持ちました。

ただ、彼は1631年に鎌倉の不二庵に隠棲し、多くの信者たちが訪れるようになりました。
このように、日遠の生涯は宗教における教えや信仰の重要性を物語っており、彼の信念は多くの人々に影響を与えました。日遠の生涯は、江戸時代の宗教的な変遷を考える上で欠かせない存在であると言えるでしょう。

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