日野・K♯/T♯/H♯型トラック

日野KTH型トラック：日本の大型トラック史に刻まれた名車

日野KTH型トラックは、日野自動車が長きにわたって製造販売した大型トラックです。1959年の初代モデル登場から1981年の生産終了まで、日本の物流を支え、その存在感は絶大でした。本稿では、その歴史、特徴、そして人気を博した理由を多角的に探ります。

初代モデル：キャブオーバー型大型トラックのパイオニア

1959年、日本初となるキャブオーバー型大型トラックとして誕生した初代KTH型は、革新的なデザインと高い実用性で注目を集めました。1969年までの10年間、改良を重ねながら生産され、日本の高度経済成長を支える重要な役割を果たしました。

この初代モデルは、前2軸式のTC10型を皮切りに、様々なバリエーションが展開されました。2軸車、3軸車、そしてトラクタヘッドなど、用途に応じて多様なモデルがラインナップされ、幅広いニーズに対応していました。エンジンも改良が加えられ、出力向上や燃費改善が図られました。

2代目モデル：映画『トラック野郎』とのコラボレーション

1969年に登場した2代目KTH型は、1970年代の日野大型トラックを代表するモデルとなりました。イタリア人デザイナー、ジョヴァンニ・ミケロッティによる洗練されたデザインは、従来のトラックのイメージを一新し、多くのドライバーから支持を集めました。

この2代目モデルは、映画『トラック野郎』シリーズにも数多く登場し、劇中に登場する個性的なデコトラとして、多くのファンに愛される存在となりました。関門のドラゴン、コリーダ丸、カムチャッカ丸、ジョーズなど、映画に登場するデコトラの多くがKTH型をベースに製作され、映画の成功に貢献しました。

多様な車種バリエーションと技術革新

KTH型トラックは、キャブオーバー型とボンネット型、2軸車、3軸車、そしてトラクタヘッドなど、実に多様な車種バリエーションを誇っていました。シャーシの種類によって型式も異なり、それぞれのモデルに特徴がありました。

また、KTH型は技術革新にも積極的で、低床4軸トラックの開発など、常に時代の最先端を行く技術を取り入れていました。世界初の4軸低床トラックであるKS300系は、その代表的な例と言えるでしょう。

生産終了とその後

1981年、除雪車と構内専用車を除き、KTH型トラックの生産は終了しました。後継車種として登場したスーパードルフィンは、KTH型で培われた技術を受け継ぎ、さらに進化を遂げました。しかし、KTH型が日本の大型トラックの歴史に刻んだ功績は、今もなお語り継がれています。

まとめ：日本の物流を支えた名車

日野KTH型トラックは、日本の大型トラック史において重要な役割を果たした名車です。キャブオーバー型という革新的なデザイン、多様なバリエーション、そして映画『トラック野郎』シリーズとのコラボレーションなど、多くの魅力を兼ね備えていました。生産終了から年月が経った現在でも、その存在感は高く評価されており、日本のトラック文化に大きな影響を与えたモデルと言えるでしょう。 KTH型は、単なる輸送手段ではなく、日本の高度経済成長を支え、多くのドライバーたちの夢を乗せて走り続けた、真の「働く車」であったと言えるのではないでしょうか。

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