日野・N型エンジン

N型エンジンの概要



N型エンジンは、日野自動車の新田工場で製造される、OHV（オーバーヘッドバルブ）に基づく直列4気筒のディーゼルエンジンです。2003年に登場し、従来のS型エンジンの後継として位置づけられています。このエンジンは、排気量が4,009ccで、ボアが104mm、ストロークが118mmの仕様を持っています。これらのスペックは、日野自動車の旧型エンジンであるW04型と同等です。

技術的な特徴



N型エンジンは、排出ガス規制への対応として多くの改良が施されています。具体的には、W04型を基にした4バルブ構成、大容量のクールドEGR（エキゾーストガス再循環）、DPR（ディーゼルパティキュレートリデューサー）、そしてコモンレール噴射システムを採用しています。これにより、新短期及び新長期の排出ガス規制に適合しています。また、トヨタのB型エンジンとの統合の結果、トヨタブランドの商用車にも広く使われています。

2018年時点で、N型エンジンは日本国内の普通・小型・中型トラック用のOHVエンジンとしては、三菱ふそうの4V20と並ぶ代表的な存在となっています。いすゞの4JJ1エンジンや三菱ふそうの4P10エンジンはDOHC（ダブルオーバーヘッドカムシャフト）であるのに対して、N型はOHVであるため、必要な性能と経済性を兼ね備えています。

ターボチャージャー仕様のモデルには「T」という文字が付与され、自然採気仕様のものにはその記号がなくなります。N04C-TM搭載の車両は、ハイブリッド系の仕様では「U」が付き、いずれのモデルも平成27年燃費基準達成車に分類されています。

さらに、N04C-VH型はJASO（日本自動車整備振興会）によるディーゼル用エンジンオイル規格の試験でも使用されることがあり、2014年に清浄性試験M336:2014と2015年の動弁系摩耗試験M354:2015において、性能評価試験エンジンとして採用されています。2017年には新たな燃費試験M362:2017が制定され、N04Cがこれに対しても対応しています。

バリエーション



N型エンジンには多くのバリエーションがあります。その一部を以下に示します：

これに加えて、輸出用やハイブリッド専用のバージョンも多数登場しており、国内外で多くのトラックや商用車に搭載されています。

搭載車両



このエンジンは、トラックや商用車の主要なモデルに搭載されています。例えば、クイックデリバリーやダイナ、トヨエース、デュトロ、コースター/リエッセII、高機動車などが挙げられます。定格出力は90 kW（122 ps）で2,200 rpmから発生し、最大トルクは404 Nm（41.2 kgf-m）で1,600 rpmで得られます。

N型エンジンは、その優れた技術と信頼性により、日本国内外の多くの車両に使用されており、商用車のエンジンとして非常に重要な役割を果たしています。

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