日野市の用水路

日野市の用水路

日野市内には、古くから農業用水として利用されてきた複数の用水路が流れています。この記事では、その中でも特に重要な新井用水、上田用水、黒川用水、そしてこれらの水源となる黒川清流公園について詳しく解説します。

新井用水

新井用水は、主に日野市の上田地区と新井地区を流れる用水路です。特徴として、分岐や合流が多いことが挙げられます。水路は住宅街の間を縫うように流れ、一部区間は親水用に整備され、市民が水に触れやすいように工夫されています。

かつては水田を潤していましたが、現在では新井用水を利用して水稲栽培を行っている農家は1軒のみとなりました。上田用水から取水し、一部区間は「新井用水ふれあい水路」として整備されています。川崎街道をくぐり、住宅街を抜けて上田用水の支流と合流した後、万願寺地区へと流れます。大木島公園という親水公園を経由し、浅川に合流します。合流地点付近は深くなっており、立ち入りが禁止されています。

上田用水

上田用水は、日野市の上田、宮、万願寺地区を流れる用水路です。取水地点から豊田用水との合流点まで水量が少ないのが特徴です。合流点から先は、豊田用水の水が主体となります。日野バイパスの開通に伴う区画整理により、かつては田畑が広がっていた場所も宅地化が進み、支流も少なくなっています。

浅川から取水していますが、近年の河床低下により取水が難しい状況です。市民プールの左側を通り、都道159号線をくぐり、豊田用水と合流します。日野バイパスを3回くぐる独特の流路を持ち、万願寺地区を縦断して根川に合流します。上田用水を利用して水稲栽培を行っている農家も1軒のみとなりましたが、万願寺中央公園の水田は有志によって管理されています。

黒川用水

黒川用水は、黒川清流公園内の湧水を水源とする用水路です。三面護岸と石積み構造が混在しており、水深は浅く、砂泥の堆積も少ないのが特徴です。かつては農業用水として利用されていましたが、流域に水田は無いため、その名残を感じることは難しいかもしれません。

黒川清流公園の西端にあるわさび農園付近が源流で、園内の湧水が合流します。JR中央線の築堤付近から暗渠となり、住宅街を抜けて大字豊田付近で再び地上に現れます。区画整理が進む川辺堀之内地区を流れ、日野バイパスの側壁や栗畑が見える場所を通り、豊田用水に合流します。水路の存在を示すものが少ないため、注意しないと見過ごしてしまうかもしれません。

黒川清流公園

黒川清流公園は、黒川用水の水源ともなっている公園です。かつては黒川という川が流れ、農業用水として利用されていましたが、宅地化に伴い暗渠化されました。その後、湧水と雑木林を活用して公園として整備され、1985年に開園しました。園内には石製のベンチや絵が描かれたマンホールがあり、散策を楽しむことができます。

公園の背後にある崖線緑地は、東京都の緑地保存地域に指定されています。また、環境省の特定植物群落や日野市の植生重要自然地域にも選定されており、豊かな自然が残されています。過去には国土交通省の手づくり郷土賞も受賞しており、その価値が認められています。園内では、アオゲラ、ヤマガラ、カワセミ、ホタル、サワガニなど、様々な動植物を見ることができます。特にチリメンカワニナやモクズガニが生息していることでも知られています。

豊田用水

豊田用水は、八王子市を源流とする浅川から取水し、主に豊田から川辺堀之内地区を流れる用水路です。浅川の滝合橋付近で取水し、平山橋付近までは浅川と並行して流れ、その後、豊田、東豊田、川辺堀之内地区を通り、上田地区で上田用水に合流します。かつては多くの水田を潤していましたが、現在では豊田用水を利用して水稲栽培を行っている農家は2軒まで減少しました。


これらの用水路は、日野市の歴史と文化、そして自然を語る上で欠かせない存在です。都市化が進む中でも、その一部は親水空間や公園として整備され、市民の憩いの場となっています。ぜひ、足を運んでその魅力を感じてみてください。

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