日野駅 (滋賀県)

近江鉄道日野駅：歴史と再生の物語

1900年、近江鉄道本線の開通と同時に開業した日野駅は、滋賀県蒲生郡日野町に位置する、歴史と温もり溢れる駅です。当初は町の中心部から離れた場所に設置される予定でしたが、地元住民の熱意ある陳情により、現在の場所での開業となりました。

開業から現在までの歴史

開業から間もない1916年には、待避線の設置工事に伴い駅舎の改築が行われました。この際、地元住民の強い協力があり、工事費用の約6割を負担、必要な土地の提供もされました。これは、地域住民にとって日野駅がいかに重要な存在であったかを物語っています。

近江鉄道八日市～貴生川間の輸送量が少なく、コスト削減のため1986年から1996年にかけては、レールバス（LE-Car）が運行されていました。日野駅構内には、レールバスの車庫や給油・給水施設も設置されましたが、維持費の高騰や輸送力不足を解消するため、1996年にレールバス運行は終了し、電車運行に一本化されました。

100年以上の時を経て老朽化が進んだ駅舎は、解体も検討されましたが、日野町は「町の宝」として駅舎保存を決定。ふるさと納税やクラウドファンディングを活用し、約7300万円を投じて大規模な改修工事が行われました。2017年には駅舎の改修工事が完了し、観光案内所やカフェを併設した「なないろ」がオープンしました。また、老朽化した上り線ホームの待合所も、ふるさと納税と国の交付金を用いて2019年に建て替えられました。さらに、2020年には、定期券販売所跡地に「日野駅鉄道ミュージアム」が開設され、駅の歴史や備品が展示されるようになりました。駅舎の修繕、展示室整備の総費用は約1億3700万円で、その大部分はふるさと納税やクラウドファンディングによる資金によって賄われました。

駅構造と周辺環境

日野駅は相対式ホーム2面3線の地上駅で、ホームは千鳥式配置です。駅舎は下り線の1番線側に位置し、上り線へは構内踏切で連絡しています。近江鉄道の主要駅であり、平日の朝夕、休日は午前中は有人駅となります。駅は町の中心部から約2km離れた西の外れに位置し、西側は田園地帯が広がり、住宅地は駅舎のある東側に広がっています。近江日野商人館や馬見岡綿向神社、滋賀農業公園ブルーメの丘などの観光地も駅東側にありますが、駅から離れています。

駅周辺の交通手段

駅前ロータリーにはバス停留所があり、近江鉄道バスと日野町営バスが運行されています。近江鉄道バスの日八線は近江八幡駅とを結び、日野町営バスは鎌掛、中山、南比など町内の各地とを結んでいます。近江鉄道バスは日中時間帯の運行便が近江鉄道線と接続しており、近江八幡駅発着便の一部は日野駅を始終着としています。日野町営バスは、平日と土曜日のみ運行され、祝日、お盆、年末年始は運休となります。

その他の特徴

日野駅構内には、かつてレールバスが運行されていた名残の車庫や給油・給水施設が残されています。また、駅窓口では硬券が日常的に使用されています。日野駅は、朝と夜には当駅を始発・終着とする列車が運行されています。水口松尾駅との間の距離は4.9kmあり、近江鉄道線内では最長の駅間距離となります。

駅舎について

日野駅の駅舎は、1900年の開業当時からのものと考えられていましたが、1916年の改修工事が行われたことが判明しました。私鉄最古級の現役駅舎であり、2017年の改修を経て、観光交流施設「なないろ」として新たな役割を担っています。改修前と改修後では、出札窓口の位置が変わっています。上り線ホームの待合所は、田園風景を望める窓が人気でしたが老朽化が進み、2019年に建て替えられました。

日野駅の未来

日野駅は、地域住民の強い思いと、行政、近江鉄道の連携によって、歴史と未来を繋ぐ存在となっています。これからも地域の中核として、発展を続けていくでしょう。

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