旧制薬学専門学校

旧制薬学専門学校について

旧制薬学専門学校とは、学校教育法が施行される以前の日本において、専門学校令に基づき薬学に関する専門教育を実施していた高等教育機関です。これらの学校は、今日の日本の薬学教育の基礎を築いた重要な存在と言えます。

概要

薬学専門学校は、旧制中学校や高等女学校の卒業生を対象としており、修業年限は3年でした。1800年代には旧制高等学校の医学部薬学科として設置されたものが、1900年代に入ると旧制高等学校から医学専門学校が分離されるとともに、私立の薬学専門学校も設立されました。また、旧制大学の薬学専門部も学制上は専門学校として扱われていました。

主な旧制薬学専門学校

以下に、主な旧制薬学専門学校の例を、官立、公立、私立、外地に分けてご紹介します。

官立

第一高等中学校医学部薬学科 (1890年) → 第一高等学校医学部薬学科 (1894年) → 千葉医学専門学校薬学科 (1901年) → 千葉医科大学附属薬学専門部 → 千葉大学薬学部
第二高等中学校医学部薬学科 (1889年) → 第二高等学校医学部薬学科 (1894年) → 医学科に吸収され一旦廃止 → 東北大学薬学部
第三高等中学校医学部薬学科 (1889年) → 第三高等学校医学部薬学科 (1894年) → 医学科に吸収され一旦廃止 → 岡山大学薬学部
第四高等中学校医学部薬学科 (1889年) → 第四高等学校医学部薬学科 (1894年) → 金沢医学専門学校薬学科 (1901年) → 金沢医科大学附属薬学専門部 → 金沢大学薬学部
第五高等中学校医学部薬学科 (1890年) → 第五高等学校医学部薬学科 (1894年) → 長崎医学専門学校薬学科 (1918年) → 長崎医科大学附属薬学専門部 → 長崎大学薬学部
富山薬学専門学校 (1920年) → (富山大学薬学部 → 富山医科薬科大学薬学部 → 富山大学薬学部)
熊本薬学専門学校 (1929年) → (熊本大学薬学部)
大阪大学附属薬学専門部 (1949年) → (大阪大学医学部薬学科に吸収され → 大阪大学薬学部)

公立

富山県立薬学専門学校 (1909年) → (官立) 富山薬学専門学校 (1920年)
岐阜市立岐阜薬学専門学校 (1932年) → 岐阜薬科大学
名古屋市立名古屋薬学専門学校 (1946年) → 名古屋薬科大学 → 名古屋市立大学薬学部
静岡県立薬学専門学校 (1952年) → 静岡薬科大学 (1953年) → 静岡県立大学薬学部

私立

九州薬学専門学校 (1910年) → (官立) 熊本薬学専門学校 (1929年)
東京薬学専門学校 (1917年) → 東京薬科大学
大阪薬学専門学校 (1917年) → (官立) 大阪大学附属薬学専門部 (1949年)
京都薬学専門学校 (1919年) → 京都薬科大学
明治薬学専門学校 (1923年) → 明治薬科大学
道修女子薬学専門学校 (1925年) → 大阪薬科大学 → 大阪医科薬科大学薬学部
帝国女子医学薬学専門学校 (1930年) → 東邦大学
東京女子薬学専門学校 (1930年) → 明治薬科大学
昭和女子薬学専門学校 (1930年) → 昭和薬科大学
共立女子薬学専門学校 (1930年) → 共立薬科大学 → 慶應義塾大学薬学部
東京薬学専門学校女子部 (1931年) → 東京薬科大学
神戸女子薬学専門学校 (1932年) → 神戸薬科大学
名古屋薬学専門学校 (1935年) → (公立) 名古屋市立名古屋薬学専門学校 (1946年)
東北薬学専門学校 (1939年) → 東北薬科大学 → 東北医科薬科大学薬学部
星薬学専門学校 (1941年) → 星薬科大学
静岡女子薬学専門学校 (1945年) → 静岡薬学専門学校 (1950年) → (公立) 静岡県立薬学専門学校 (1952年)

外地

京城薬学専門学校 (1930年) → ソウル薬学大学 (1945年) → ソウル大学校薬学大学 (1950年)
満州医科大学附属薬学専門部 (1938年)

関連事項

薬学校
専門学校令
旧制専門学校
旧制女子専門学校
* 日本の学校制度の変遷

これらの学校は、日本の薬学教育の発展に大きく貢献し、多くの優秀な薬剤師や研究者を輩出しました。その歴史的意義は、今日の薬学教育においても高く評価されています。

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