旧台湾ドル

旧台湾ドルとは

旧台湾ドル（きゅうたいわんドル、中国語: 舊臺幣、英語: Old Taiwan dollar）は、1946年から1949年の間に台湾で流通した通貨です。正式名称は「台幣兌換券」で、台湾銀行に発行が委託されました。日本統治時代の「台湾銀行券」の後継として登場しましたが、後に「新台湾ドル」が発行されたため、「旧」と区別されるようになりました。

発行の経緯

1946年5月22日、台湾銀行は旧台湾ドル紙幣の発行を開始しました。当初は1元、5元、10元の3種類のみでしたが、同年9月1日には50元と100元紙幣も発行されました。しかし、物価変動に対応するため、500元、1000元、そして1万元紙幣が相次いで発行され、未発行ながら100万元紙幣も印刷されました。

旧台湾ドルの発行は、台湾銀行の改組（株式会社台湾銀行へ）と同時期に行われました。日本降伏後、中華民国政府は台湾銀行券の流通停止を発表しましたが、過渡期の貨幣として「中央銀行台湾流通券」を発行する計画は頓挫し、台湾銀行券が継続して流通することになりました。しかし、台湾銀行券の発行総額は急増し、インフレが進行しました。

旧台湾ドルは、当初台湾銀行券と1:1の比率で交換されました。発行当初は上海の中央印刷局で印刷されましたが、インフレによる需要増大のため、1948年には台湾銀行自身も紙幣印刷を行うようになりました。紙幣の図案は、台湾省行政長官公署が決定し、表面には台湾と孫文、裏面には鄭成功とオランダ軍の海戦図が描かれました。

ハイパーインフレと通貨改革

1948年、上海での金融危機を背景に、旧台湾ドルの価値は急落し、ハイパーインフレが発生しました。物価の急激な上昇は、台湾経済に深刻な打撃を与えました。この状況を打開するため、1949年6月15日に通貨改革が実施され、新台湾ドルが発行されました。新台湾ドルは米ドルを基準とし、旧台湾ドル4万ドルに対して新台湾ドル1ドルの比率で交換されました。

旧台湾ドルは、1950年1月14日に正式に流通を停止し、その役割を終えました。

旧台湾ドルと他通貨との為替レート

1948年、中国大陸の経済変動により、旧台湾ドルと法幣の為替レートも大きな影響を受けました。また、同年には金円券との交換比率も定められましたが、インフレにより金円券の価値は下落し、旧台湾ドルは相対的に上昇しました。これらの変動が、旧台湾ドルの最終的な崩壊を招く要因となりました。

紙幣の種類

旧台湾ドル紙幣は、印刷場所や図案、発行時期によっていくつかの種類に分類されます。

第1次・凸版印刷紙幣: 中央印刷局上海工場で印刷された初期の紙幣。
第2次・表面凹版、裏面凸版印刷紙幣（低額面）: 中央印刷局上海工場で印刷され、鞠文俊が彫った孫文の像が描かれています。
第3次・表面凹版、裏面凸版印刷紙幣（高額面）: 中央印刷局上海工場で印刷され、鞠文俊が彫った孫文の像が描かれています。
第4次・表面凹版、裏面凸版リソグラフィ印刷紙幣: 台湾銀行第1印刷所で印刷され、鮑良玉が描いた孫文像が使用されています。
第5次・高額面の定額為替: 台湾銀行第1印刷所で印刷された高額面紙幣。
第6次・高額面紙幣: その他の高額面紙幣。

まとめ

旧台湾ドルは、台湾の歴史において重要な役割を果たした通貨です。インフレや通貨改革といった激動の時代を反映し、その変遷は台湾の近現代史を理解する上で欠かせない要素と言えるでしょう。

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