旧来住家住宅

旧来住家住宅の概要

旧来住家住宅（きゅうきしけじゅうたく）は、兵庫県西脇市に位置する歴史ある建物で、1918年に建築された銀行家、来住梅吉の邸宅です。この住宅は国に登録された有形文化財であり、その価値が広く認識されています。

来住梅吉と旧来住家

来住家は、糸商を主な業務とし、広大な農地や山林を所有していました。来住梅吉は、地元西脇商業銀行の創設者でもあり、彼のビジョンによってこの邸宅は設計・建築されました。着工は1915年に始まり、3年の歳月を掛けて母屋や離れ、庭園の完成を見ました。

建築様式

この住居のデザインは、明治時代以降に普及した中廊下形式を採用しており、南北に分かれた配置は特に特徴的です。北側は家族が使用する空間で、南側は客をもてなすためのスペースとなっています。共用の廊下は畳で仕上げられ、南北の部屋との調和を図っています。

使用材および技術

当時の建設においては、贅沢な木材が惜しげもなく使われ、今では入手が困難な資材も多く使用されています。その総建築費は、現代の貨幣価値に換算すると54億円に達し、多くの部材や技術が後の時代に再現されることは難しいとされています。特に、釘を一切使用しない工法は、技術的にも特徴的です。

文化財登録と公開

2001年に旧来住家の相続人から西脇市に建物と土地が寄贈され、2002年には国の登録有形文化財に指定されました。2003年からは一般に公開され、市のまちづくりの拠点としても利用されています。ここには、日替わりのシェフによるレストラン「梅吉亭」も併設されています。

建物詳細

旧来住家の敷地面積は1226.40平方メートル、建物面積は594.1平方メートルです。構成は母屋、離れ、客湯殿、洋館、さらに蔵やトイレ（元味噌蔵）など多様です。母屋は1918年に完成し、洋館は1936年に建設されました。

庭園と設計

庭園は茶道の藪内流宗匠によって設計され、鞍馬石や鴨川石などが配置されています。五重石塔や灯籠、池などもあり、いずれも美しい風景を形成しています。

歴史的宿泊者

歴史的には、1913年から1915年にかけて日本画壇の重鎮、橋本関雪がこの邸宅で多くの作品を制作しました。また、1928年には犬養毅が宿泊し、漢詩を残しています。さらに、1940年には朝香宮鳩彦王もここに滞在しました。

アクセスと利用

旧来住家住宅へのアクセスは、JR加古川線西脇市駅から徒歩約20分の距離にあります。利用時間は10時から18時で、月曜日は休館日です。入館は無料で、特定の部屋は有料で貸し出されています。お茶会や舞踊、趣味の集まりなど様々な利用がされています。

周辺情報

また、旧来住家住宅の近くには西脇市のアンテナショップ「西脇情報未来館21」が設けられており、地域の情報発信や文化的な交流の場にもなっています。

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