旧竹林院庭園

旧竹林院庭園：比叡山のふもとに広がる、歴史と美が調和する空間

滋賀県大津市坂本、比叡山のふもとに位置する旧竹林院庭園は、国の名勝に指定されている日本庭園です。延暦寺の里坊の一つであった竹林院の境内南西に広がるこの庭園は、3300平方メートルもの広さを誇り、里坊庭園としては最大規模を誇ります。

歴史と変遷：江戸時代から現代へ

その歴史は古く、江戸時代初期に築造されたと伝えられています。回遊式庭園として設計されており、大宮川の水を引いた曲水、八王子山を借景とした壮大な景観が特徴です。滝組や築山、趣のある茶室や四阿（あずまや）といった、数々の景観要素が巧みに配置され、訪れる人を魅了します。

明治時代初期には、廃仏毀釈の影響を受け、竹林院は衰退。庭園も個人の手に渡り、現在の姿に改修されました。この改修によって、近代庭園としての要素も加わり、独特の景観が形成されています。そして、この近代庭園としての価値が高く評価され、国の名勝に指定されるに至りました。

庭園の構成：自然と人工の融合

庭園内には、いくつかの重要な建造物や景観要素が存在します。

茶室: 大正時代に建てられた、入母屋造りの茅葺屋根の茶室は、大津市指定文化財にも登録されています。静寂な空間で、茶の湯の文化に触れることができます。
四阿: 茶室と同様に大正時代に建造された四阿も、大津市指定文化財です。庭園を眺めながら、ゆっくりと時を過ごすのに最適な場所です。
五重石塔: 歴史を感じさせる五重石塔は、庭園の雰囲気をさらに高めています。
井筒: 古井戸の井筒は、昔ながらの技術を感じさせる、歴史の証人です。

これらに加え、巧みに配置された築山や滝組、そして借景として用いられた八王子山が、自然と人工の調和が見事に表現された景観を作り出しています。

近年の話題：リフレクション撮影

近年、平成30年9月からは、物置に保管されていた座卓を活用したリフレクション撮影が楽しめるようになり、新たな魅力が加わりました。水面に映る風景を撮影することで、庭園の美しさをより一層楽しむことができます。SNSなどを通じて話題となり、多くの観光客を呼び込んでいます。

アクセスと周辺情報

旧竹林院庭園へのアクセスは良好です。

京阪石山坂本線 坂本比叡山口駅 徒歩5分
湖西線 比叡山坂本駅 徒歩15分

周辺には、旧白毫院庭園（庭園の向かい側）、日吉大社、日吉東照宮など、歴史的な観光スポットが数多く存在します。これらのスポットと合わせて訪れることで、より充実した観光体験となるでしょう。

開園時間など

開園時間: 9:00～17:00（入園は16:30まで）
休園日: 月曜（祝日の場合は開園、翌日休園）、祝祭日の翌日、年末年始（12月25日～31日）
* 所在地: 〒520-0113 滋賀県大津市坂本5-2-13

歴史と自然、そして現代の技術が融合した旧竹林院庭園は、静寂の中で安らぎと感動を与えてくれる、まさに隠れた名所と言えるでしょう。比叡山を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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