旧第五十九銀行本店本館

旧第五十九銀行本店本館の歴史と魅力

旧第五十九銀行本店本館は、青森県弘前市に位置する歴史ある建物であり、その起源は1904年（明治37年）にさかのぼります。この建物は、当時の第五十九国立銀行の本店として建設され、近年では青森みちのく銀行の記念館として広く知られています。1967年から一般公開され、1972年には国の重要文化財に指定されました。

建物の概要

旧第五十九銀行本店の建物は、2年半の工期をかけて完成しました。木造2階建ての構造をもち、外観にはルネサンス風のデザインが取り入れられています。興味深いのは、防火対策が施されており、外壁は板の上に瓦が張られ、さらに漆喰で仕上げられています。また、窓の仕上げも漆喰であるため、当時の建築技法が垣間見えます。屋根と塔屋は和小屋組とトラスの折衷構造とされ、多様な美しさを持っています。

内部は、主屋とその接続部分にあたる角屋で構成されています。主屋の1階には営業室や客溜りがあり、角屋には頭取室と応接室が配置されています。2階には大会議室と小会議室があり、特に大会議室は約14.5mの大空間を実現しており、柱がない設計は非常に印象的です。この大空間の柱には青森県産のヒバが使用され、建具にはケヤキが使われています。

屋根には装飾塔があり、周囲にバラストレイトが設置されています。これは雪止めの役割も果たすなど、実用的な考慮がなされているのが特徴です。

変遷と保存

1943年に青森銀行が設立されると、旧第五十九銀行本店本館は弘前支店として使用されるようになります。しかし、1965年に新支店への建て替えが決まり、取り壊しの危機を迎えました。それを受けて地元の商工会議所や市民、文化財保護団体からの要望が高まり、最終的には保存が実現します。

保存に際しては、建物は元の位置から90度回転させて移動されることとなり、50メートルの曳屋が行われました。その後、1967年には青森銀行記念館として再生され、2018年には弘前市への寄贈が行われました。

建築的意義

旧第五十九銀行本店本館は、当時の坪当たり単価が特に高く、同時期の建物と比較してもその完成度は目を見張るものがあります。設計者である堀江佐吉は、「気が済むようなものを作ってほしい」と自由な発想で設計を任されました。その結果、建物は彼の最高傑作とされ、弘前を代表する洋風建築として高く評価されています。

また、天井には金唐革紙が施されており、これは当時のまま残されている貴重な意匠として、文化財としての価値をさらに高めています。

交通アクセスと今後の利用

弘前市内のこの歴史的建物は、奥羽本線弘前駅からバスで10分、下土手町で下車後、徒歩2分の位置にあります。現在、近未来にはホテルとして活用する計画も進行中であり、2023年10月には弘前市、プロクレアホールディングス、弘前商工会議所が連携協定を締結し、さらなる利活用が期待されています。

さいごに

旧第五十九銀行本店本館は、その歴史的意義と美しい建築様式によって、地域の文化を守り続けています。これからも多くの人々によって愛されるべき存在であり続けることでしょう。

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