早稲田大学高等師範部

早稲田大学高等師範部の歴史

早稲田大学高等師範部は1903年7月、日本の高等教育機関として設立されました。この機関は、当初専門学校令に基づいて運営されており、国語漢文科、歴史地理科、法制経済科、英語科の四つの学科から構成されていました。修業年限は三年であり、模擬的な高等予科も設けられていました。

当時の日本の中等教育界では、政府が設立した高等師範学校や帝国大学の卒業生がその地位を占めていましたが、高田早苗らの手によって設立された高等師範部は、教育の質を向上させるための新たな選択肢を提供することを目指しました。彼は設立趣旨として「To make man」を掲げ、全国の旧制中学校や師範学校から多くの学生を集めました。

高等師範部は、文部省の師範学校中学校高等女学校教員検定試験（文検）の無試験認定校であったため、卒業生は中等教員免許を獲得し、主に旧制中学校や高等女学校、実業学校などで教壇に立つこととなりました。

1949年に私立学校法が施行されると、早稲田大学は新たに教育学部を設立します。そして1951年、高等師範部はこれに組み込まれる形でその役割を終えました。

沿革

1899年7月: 東京専門学校文学部が設立され、私立大学として初めて文検無試験検定の特典を得る。
1902年9月: 東京専門学校が早稲田大学へ改称され、中等教員養成機能が新設した専門部に移管される。
1903年9月: 高等師範部が正式に開設。
1907年9月: 高等師範部が大学部の一部として統合され、師範科とされる。
1920年4月: 高等師範部を高等師範科に改称し、専攻の内容が修正される。
1946年4月: 女性の入学が認められ、社会教育科が新設。
* 1949年4月: 教育学部が開設され、高等師範部は教育学部に再編成。

著名な関係者

高等師範部には多くの著名な教育者や文化人が関与していました。例えば、浮田和民は社会学者として知られ、早稲田大学高等師範部長や図書館長に就任しました。また、尾上柴舟は詩人であり、その作品は国文学に大きな影響を与えました。さらに、歌人の服部嘉香や漢学者の牧野謙次郎もその名を馳せました。

出身者

高等師範部からは、アカデミックな分野で成功を収めた多くの卒業生が誕生しました。詩人の有本芳水や小説家の安寿吉は、その代表的な例です。また、英語学者の五十嵐新次郎や国文学者の上坂信男なども高等師範部出身です。こうした人物の多くが、教育現場で指導的な立場を占め、教育の発展に寄与しました。

早稲田大学高等師範部は、その短い歴史の中で日本の教育界に多大な影響を与え、数多くの優れた教員と文化人を輩出した重要な教育機関として、その功績を称えられています。

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