牧野謙次郎

牧野謙次郎

牧野謙次郎（まきの けんじろう、文久2年11月30日〈1863年1月19日〉 - 昭和12年〈1937年〉3月24日）は、日本の漢学者です。字は君益、号は藻洲、寧静斎、愛古田舎主人。香川県出身。

経歴

讃岐国高松で牧野松村の次男として生まれました。祖父の牧野黙庵（高松藩江戸邸の教授）と父の松村（藩校教授）から家学を受け、明治15年（1882年）には藤沢南岳の泊園書院（現・関西大学）で学びました。

明治26年（1893年）に国華社で執筆活動を開始し、明治30年（1897年）には雑誌『曙』を創刊、明治34年（1901年）からは『日本新聞』の週報を担当し、「藻洲」の名を高めました。明治39年（1906年）には松平康國と共に雑誌『支那』を創刊しましたが、『曙』と『支那』は短期間で廃刊となりました。しかし、大正13年（1924年）から亡くなるまで東洋文化学会の機関雑誌『東洋文化』に毎号執筆し、実に百数十回にわたり講経を連載しました。

明治末年の南北朝正閏問題や大正年間の宮中某重大事件においては、彝倫道徳を重視する立場から議論に参加しました。平沼騏一郎男爵の漢学面における顧問としても活動し、早稲田大学高等師範部長兼文学部教授、同高等師範部教授、斯文会常議員、東洋文化学会理事、大東文化協会理事、大東文化学院初代教頭などを歴任し、後進の育成に尽力しました。長年にわたり漢学振興運動のリーダーとして活躍しました。

不正や詭弁に対しては、筆を執って輿論を喚起し、徹底的に批判する姿勢を持っていました。

明治・大正・昭和の三代にわたり文章の大家として知られ、豊富な知識と卓越した見識、そして恭敬謙譲の徳を備えた人物として称えられています。諡号は文毅。墓所は染井霊園にあります。

著書には、『荘子国字解』、『墨子国字解』、『講経新義（正・続）』、『維新伝疑史話』、そして五冊からなる『文集』などがあります。

嗣子は牧野巽（早稲田大学教授、東京大学教授、文学博士）です。

関連事項

無窮會
南北朝正閏論

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