旭化成建材

旭化成建材株式会社は、大手化学メーカーを中心とする旭化成グループの一員として、建築材料の製造、販売、そして関連技術の研究開発を担う事業会社です。現在の本社は東京都千代田区に置かれています。

沿革

同社の歴史は1963年の創業に始まり、1976年に会社として設立されました。本社機能はいくつかの移転を経ており、2004年には港区芝大門から港区東新橋へ、さらに2008年には千代田区神田神保町へと移転しています。会社の歩みの中で、特に社会からの注目を浴びることとなったのが、2015年に明らかになった一連の杭打ちデータ改竄問題です。

杭打ちデータ改竄問題

この問題は、2015年10月15日、三井住友建設が施工を担当していた横浜市のマンション「パークシティLaLa横浜」の建設現場において表面化しました。同社が請け負った杭打ち工事の一部に施工上の不備が見つかり、さらにその工事に関する施工報告書に含まれるデータの一部が、会社の許可なく書き換えられていたことが判明したのです。翌10月16日には、コンクリート杭の先端を地盤に定着させるためのセメントミルクの注入量を測る流量計のデータにも、同様の無断改変が行われていたことが明らかになりました。旭化成建材はこれらの不正行為の事実を認め、謝罪するに至りました。

事態を重く見た国土交通省は、国民の建築物に対する不安を払拭するため、2015年10月23日、旭化成建材に対して、過去に同社が杭打ち工事を担当した全国延べ3040ヶ所の物件に関するデータの情報提供を住民や自治体に行うよう求める命令を発出しました。さらに同年11月2日からは、建設業法違反の疑いによる旭化成建材本社への立入検査を実施し、不正の実態解明に向けた調査が開始されました。同社はこれを受け、過去10年間に施工した全3040件の杭打ち工事におけるデータの改竄の有無について徹底的な調査を実施。関係者の証言によると、この調査の結果、およそ300件の物件でデータの改竄に該当する可能性があることが示唆されました。

問題の発覚は横浜の物件にとどまりませんでした。2015年10月28日には、北海道が釧路市内で進めていた道営住宅の建設工事においても、旭化成建材によるデータの流用や改竄が行われていたことが北海道によって発表されました。この釧路の工事の責任者が横浜の工事とは別の人物であったことから、データ改竄という不正行為が単独犯によるものではなく、組織的に行われていた可能性が指摘され、問題の根深さが浮き彫りとなりました。

一連の重大な不正行為を受けて、旭化成建材は2016年1月に、杭打ち工事で一次下請けとなっていた日立ハイテクノロジーズと共に、15日間の営業停止処分という厳しい行政処分を受けました。この問題は親会社である旭化成グループ全体の信頼を揺るがし、経営陣にも影響を及ぼしました。2016年には、旭化成本体の浅野敏雄社長が相談役に退き、小堀秀毅専務が新社長に就任するなど、トップが交代しました。同様に、旭化成建材の前田富弘社長も社長付となり、後任には堺正光氏が就任。旭化成グループの住宅・建材事業を統括していた平居正仁副社長も同年6月に取締役を退任するなど、組織として大きな刷新を迫られることとなりました。

所在地

現在、旭化成建材株式会社は東京都千代田区に本社を構えています。主要な製造拠点としては、茨城県猿島郡境町に境工場およびネオマフォーム工場、岐阜県瑞穂市に穂積工場、山口県岩国市に岩国工場を有しています。

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