昌雲寺 (掛川市)

昌雲寺の紹介

昌雲寺（しょううんじ）は静岡県掛川市に位置する仏教寺院であり、地域の精神的な拠り所として長い歴史を持っています。寺院の成立は暦応元年（1338年）以前にさかのぼり、真言宗の古い遺跡とされています。特に文明4年（1472年）には、凶作が原因で多くの人々が餓死する中、昌雲坊が村人と協議し、故人の霊魂を供養するために堂宇の設立を決定しました。これが昌雲寺の創始にあたります。

その後、一時的に活動が中止されたものの、将軍足利義尚が寺を再建し、同時に山号を「高室山」と名付けました。義尚の死去後、龍眠寺の和尚が堂宇を再び建設し、昌雲坊に由来する形で現在の昌雲寺が形作られました。

時代は変わり、天正年間（1573～1591年）には高天神において兵乱が起こり、寺院の住職が信州に避難せざるを得なくなりました。戦乱が収束した後、横須賀城主からの支援を受け、寺の存続のための寄付を受けました。この寄付は、黒印の高五石とともに、山林や竹林、その他の役務からの免除が含まれていました。

さらに、正徳4年（1714年）には、竜眼寺の12世の見巖和尚が、竜眼寺の末寺であった蓮昌庵を昌雲寺の末寺に譲渡し、寺の格が向上しました。また、寺には「丸に下り藤」という寺紋があります。

境内の堂宇について

昌雲寺の境内には、いくつかの堂宇が存在しています。

地蔵堂

本尊は地蔵菩薩であり、寛永年間（1624～1643年）に進士庄左衛門と檀徒有志が子孫の長久と家門の繁栄を祈って堂宇を建立しました。大正6年には一度破壊されましたが、その後再建されました。

燈明堂

本尊は秋葉三尺坊で、火災の消除と家内安全を願って藤塚住民が建立しました。

このように昌雲寺は、様々な時代背景の中で地域の人々の信仰の場として、また災厄からの守りを願う人々の拠り所としてことさら重要な役割を果たしてきました。

昌雲寺の歴史や境内の堂宇は、地域文化の象徴といえる存在であり、今も多くの参拝者が訪れています。様々な信仰や願いが込められた寺院であることを知ることが、訪問者にとっても新たな発見となることでしょう。

参考文献

大須賀町誌編纂委員会『大須賀町誌』静岡県小笠郡大須賀町

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