明円

明円（みょうえん/めいえん）

明円は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した仏師であり、生年は不詳ですが、正治元年（1199年）に没しました。円派の仏師として、その優美で伝統的な彫刻様式を後世に伝えました。

略歴

明円は、仁安元年（1166年）に近衛基実の法要のために、阿弥陀如来、観音菩薩、不動明王の三躯を制作しました。この功績により、法橋位に叙せられています。建久2年（1191年）には、平重衡の焼打ちによって大きな被害を受けた興福寺金堂の復興事業において、造仏を担当しました。この事業への参加は、彼の名声をさらに高めることとなりました。

作品

現存する明円の代表的な作品として、大覚寺に安置されている五大明王像（1167年）が挙げられます。これらの像は、円派の様式を色濃く反映しており、当時の仏教美術における彼の卓越した技術と美的感覚を示すものとして高く評価されています。

円派の衰退

明円の死後、円派はその勢いを徐々に失っていきました。しかし、彼の作品は後世の仏師たちに大きな影響を与え、日本の仏教彫刻史において重要な位置を占めています。

関連人物

院尊
忠円（父）：忠円も仏師であり、明円に大きな影響を与えたと考えられます。
朝円（弟子）
寛円（弟子）
定円（寛円の弟子）

参考資料

神奈川県仏教文化研究所 > 仏像の基本 > 明円

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