明報

明報（Ming Pao）とは

明報（めいほう、Ming Pao、Ming Pao Daily News）は、香港で発行されている繁体字中国語の日刊新聞です。1959年5月20日に、武侠小説家としても知られる査良鏞（金庸）と沈宝新によって創刊されました。発行は、同時に設立された「明報企業」が行い、2008年以降は、明報企業の後身であり、香港証券取引所に上場している世界華文媒体の傘下となっています。

カナダのバンクーバーやトロントでも現地版を発行しており、香港、台湾、北米、マレーシア、インドネシアに系列の新聞や雑誌を展開し、世界の中国語コミュニティに影響力を持っています。

歴史

創刊者の一人である金庸は、武侠小説の連載と並行して社説も執筆し、中国大陸で文化大革命が起きた時期には、中国共産党に反対する姿勢を明確にし、左派の論客や中国系左派新聞と激しい論戦を繰り広げました。

1991年に金庸が社長を引退した後、于品海がルパート・マードックとの買収合戦に勝利し、明報を買収しました。1993年には、明報の記者である席揚が中国の国家機密を漏洩したとして逮捕され、3年以上にわたって収監されるという事件が起こりました。この事件をきっかけに、香港メディアの中国報道に対する自主規制が進むことになりました。

1995年には、マレーシア華人の張暁卿が経営権を取得しました。その後、「明報企業」は、張暁卿が所有するマレーシアの『星洲日報』と『南洋商報』の経営母体2社を2007年に買収し、翌年、これら3社を統合して世界華文媒体が発足しました。これにより、世界有数の中国語メディア企業となりました。

論調と特徴

明報の論調は、中立的であると評されています。『大公報』や『文匯報』など、中国政府・共産党に近い左派新聞と比較するとリベラルであり、『蘋果日報』などと比較するとやや保守的であるとされています。

1990年代中頃以降は、中国に対する批判的な論調はあまり見られなくなりましたが、2017年12月26日の紙面では、六四天安門事件を取り上げるなど、必ずしも一辺倒な姿勢ではないことを示しています。

明報は、センセーショナルな大見出しを打つことは少なく、レイアウトや色彩といったデザイン面もおとなしい印象です。アダルト記事はなく、中立的な用語を使う傾向が強いです。香港の小中学校で購読されることが多く、教育関係者からの信頼も厚いです。

近年、市場競争の影響から大衆紙に近づいているという指摘もありますが、依然として厳格なイメージが保たれています。香港市民からの信頼は比較的厚く、2010年に香港中文大学が行った調査では、地元の中国語新聞として最も高い信頼性を得ています（地元新聞全体では、英文のサウスチャイナ・モーニング・ポストがトップ）。読者層としては知識層が多いとされています。

明報は、長年にわたり香港のメディア界で重要な役割を果たしており、その報道姿勢は多くの読者から支持されています。

脚注

中国新聞社とニュース配信契約を結んでいます。

関連項目

中国新聞社

外部リンク

* 明報新聞網

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