明教新誌

『明教新誌』について

『明教新誌』（めいきょうしんし）は、1875年（明治8年）に大内青巒によって創刊された仏教新聞です。この新聞は、特定の宗派にこだわることなく、仏教に関する幅広い言説や情報を掲載していた点が特徴です。隔日刊で発行され、1901年（明治34年）に終刊となるまで、明治期の仏教界に大きな影響を与えました。

沿革

『明教新誌』は、1875年（明治8年）8月に大内青巒らによって創刊されました。その前身は、1874年（明治7年）に創刊された大教院の機関誌『官准教会新聞』であると考えられています。『教会新聞』は1875年4月30日に休刊しましたが、同年7月12日に明教社が発行を引き継ぎ、135号から再開しました。

引き継ぎ当初は『教会新聞』の誌名をそのまま使用していましたが、148号から『明教新誌』に改題しました。初代の「編集印刷総長」は大内青巒が務めました。創刊当初は五日ごとに発行されていましたが、初期の3号を除き、その後は隔日発行となりました。

『明教新誌』に改題後は、『教会新聞』時代と比較して発行部数が大幅に増加しました。1875年頃には数百部であったものが、1888年（明治21年）には1号あたり約2千部が配布されるようになりました。しかし、1901年（明治34年）2月28日の4603号をもって終刊となり、『日出国新聞』と合併しました。

刊行背景と新聞の特徴

『明教新誌』は、日本の雑誌・新聞史の初期に刊行された新聞の一つです。同時期には『明六雑誌』や、仏教系の『報四叢談』などがありました。

明治政府は、神道国教化政策が挫折したことで、宗教政策を神仏合同教化へと転換しました。大教院は、この政策の一環として設置された教化機関でした。しかし、この政策は島地黙雷などによって「神仏混淆」として批判され、大教院からの真宗分離運動も起こりました。このような動きの中で、1875年5月には大教院が解散し、機関誌『官准教会新聞』は大内青巒に引き継がれることとなりました。

『明教新誌』の刊行に深く関わった大内青巒は、在家仏教者でありながら、多岐にわたる啓蒙活動に従事していました。その活動の一環として、メディア・印刷事業にも深く関わっていました。青巒は、当時政教分離と信教の自由を主張した島地黙雷らと同じ立場にあり、彼らの活動を踏まえ、「人権伸長」の啓蒙を目指して『明教新誌』を刊行しました。

誌面構成は、1886年（明治19年）までは、各宗派からの報告や通告などを掲載する「官報」・「公報」欄、論説を掲載する「普説」欄、読者からの投書を掲載する「寄書」欄、その他「雑報」や広告欄などでした。その後、「普説」と「雑報」欄を統合した「新誌」欄が設けられました。

記事の内容は、宗派の垣根を越えて仏教界の情報や論説を掲載していたため、「通仏教」の新聞と評されました。星野靖二によれば、創刊当初の『明教新誌』は、教派を超えた抽象的な仏教を論じるものではなく、既存の諸宗派の協力を目指したものでした。

主な寄稿者には、蘆津実全、養鸕徹定、井上円了、大内青巒などがいました。また、後に東洋史学者として名を馳せた内藤湖南も同誌で記事を執筆していました。

『明教新誌』は、明治初期の仏教界において、情報発信と議論の場として重要な役割を果たしました。その存在は、当時の仏教界の動向や、宗教と社会の関係を理解する上で欠かせない資料と言えるでしょう。1000文字以上1400文字程度

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