神道国教化

神道国教化とは

神道国教化とは、明治初期に展開された、日本の伝統的な宗教である神道の再評価を目指す運動です。この運動は、単なる宗教運動に留まらず、当時の政治状況や社会情勢とも深く結びついていました。具体的には、祭政教一致を求める世論が高まる中、古代から続く皇室祭祀、神宮祭祀、神社祭祀の復興・見直しと並行して、神道そのものを日本の国教として再評価しようとする動きでした。

運動の開始と挫折

明治2年（1869年）に神祇省内に宣教使が設置され、大教宣布が開始されたことで、神道国教化の動きは本格化しました。しかし、当時の神道は教義や人員の両面で不十分な点が多かったため、運動はなかなか進展しませんでした。また、神祇省では、皇室祭祀、神宮祭祀、神社祭祀を改革し、それらを結びつけることで神道の教義・祭祀を確立しようという提案もなされましたが、これも実現には至りませんでした。

教部省の設置と神仏合同布教

明治5年（1872年）には、神祇省が廃止され、新たに教部省が設置されました。宣教使に代わって教導職が置かれ、三条の教憲を元に、仏教と共同で教化活動（神仏合同布教）を行うことになりました。しかし、太政官や神祇官事務局による廃仏毀釈の影響で仏教側との関係が悪化したため、明治8年（1875年）には神仏合同布教の方針は放棄されました。

信教の自由と神道独自の展開

神仏合同布教の方針が放棄された同じ年の11月には、「信教の自由」の方針が打ち出されました。これにより、神道側も神道事務局を設置し、独自の布教・教化の方針を採るようになりました。その後も、神道国教化の理念は細々と継続されましたが、明治10年（1877年）に教部省が、明治17年（1885年）には教導職が廃止され、神道国教化の動きは名実ともに終焉を迎えました。

神道国教化の終焉と影響

神道国教化の試みは、結果としては成功しませんでしたが、その後の日本の宗教政策や国家観に大きな影響を与えました。特に、国家神道へと繋がる流れは、その後の日本の歴史を大きく左右することになります。

関連事項

皇道宣布運動
国家神道
復古神道

参考文献

畑中章宏「神仏習合と廃仏毀釈　―寺院・仏像破壊の真実―」筑摩書房
* 星野光樹「神道国教化」（『明治時代史大辞典 2』吉川弘文館、2012年）

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