明日を呼ぶ港

明日を呼ぶ港

「明日を呼ぶ港」は、1961年9月5日にビクターからリリースされた橋幸夫の12枚目のシングルです。この楽曲は同名の映画の主題歌としても知られています。

背景と制作

この曲の作詞は佐伯孝夫、作曲は吉田正が担当しており、橋幸夫にとって両恩師による作品です。橋は「潮来笠」でデビュー後、順調にシングルをリリースしてきましたが、現代調の楽曲は本作が4曲目となります。デビュー当初は股旅物を多く歌っていましたが、橋自身も新たな挑戦を模索していました。

橋はこの楽曲について、「『あれが岬の灯だ』以来のマドロスもので、そろそろ私の音楽をより多様に表現していきたかった」という思いを語っています。この時期に、橋は大映で初めて現代劇に出演することが決まり、音楽のスタイルを試行錯誤する中で、マドロスをテーマにしたこの曲が生まれたのです。

さらに、本楽曲は雑誌『明星』とのタイアップがあり、丸木健嗣の原作はこの雑誌に連載されていました。音楽のジャケットにもその旨が記載されています。B面の「振り向いたあいつ」も、佐伯と吉田のコンビによる作品であり、こちらはサラリーマンをテーマにした楽曲で、特に橋にとって新しい挑戦となりました。この曲はNHKのラジオ歌謡としても知られています。

1961年には、年間で10万枚の売り上げを記録し、ビクターの年間ヒット賞を受賞しました。これにより、橋幸夫の知名度と影響力はさらに拡大しました。

収録情報

「明日を呼ぶ港」はいくつかのアルバムに収録されています。以下にその一部を紹介します。

• - LP『橋幸夫傑作集第3集』（1961年、LV-222）
• - LP『橋幸夫オールヒットメロディー第2集』（1962年、JV-5025）
• - LP『橋幸夫ゴールデンヒットアルバム第1集』（1965年、JV166-167）
• - CD『橋幸夫』（1995年10月27日）VICL-8160
• - CD『＜TWIN BEST＞』（1998年11月6日）VICL-41033～4

また、CD-BOXにも多数の作品が収められており、『橋幸夫大全集』（1993/9）や『橋幸夫のすべて』（2011/2）などがリリースされています。特に注目すべきは、B面の「振り向いたあいつ」の音源は他のアルバムには収録されていないものの、『国民歌謡 ラジオ歌謡大全集 8』（Victor GES-30410）に含まれています。

映画版

「明日を呼ぶ港」は、同名の映画とも関連しており、1961年11月19日に公開されました。この映画には本郷功次郎、橋幸夫、叶順子が共演しており、約1時間22分のカラー作品です。監督は島耕二が手掛けており、橋にとって初めての現代劇への出演作となりました。

映画では、橋幸夫が演じる役は夢見る若者で、船乗りになることを志しています。兄である一郎（本郷功次郎）が勤務する海運会社での陰謀を兄弟で暴いていくアクションドラマが展開されます。このストーリーに合わせて「明日を呼ぶ港」は、作品の重要なテーマを反映した楽曲として位置付けられています。

このように、「明日を呼ぶ港」は、橋幸夫の音楽キャリアにおいて特に重要な一曲であり、映画との相乗効果で多くの人々に愛されています。

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