明智小五郎の事件簿-黒蜥蜴

宝塚歌劇『明智小五郎の事件簿-黒蜥蜴-』：原作を凌駕する新たな解釈

宝塚歌劇団が贈るグランド・ロマンス『明智小五郎の事件簿-黒蜥蜴-』は、江戸川乱歩の代表作「黒蜥蜴」を原作としたミュージカル作品です。全12場からなる大規模な舞台は、木村信司による脚本・演出で彩られ、2007年2月9日から宝塚大劇場で、その後4月6日から東京宝塚劇場で上演されました。併演作品は『TUXEDO JAZZ』でした。

この舞台は、原作小説を忠実に再現したものではなく、時代設定を第二次世界大戦後とするなど、大胆な改変が加えられています。特に、明智小五郎と黒蜥蜴の関係性は、原作における単純な敵対関係を超え、恋愛描写をはるかに凌駕する、複雑で深い因果関係として描かれています。この新たな解釈が、作品に独特の深みと魅力を与えています。

豪華なキャスト陣も作品の魅力を高めています。明智小五郎役には春野寿美礼、黒蜥蜴役には桜乃彩音という、宝塚歌劇を代表するスターたちが起用されました。その他にも、主要な登場人物たちが実力派の役者たちによって演じられ、それぞれのキャラクターが鮮やかに表現されています。新人公演では、朝夏まなと、野々すみ花らがそれぞれ明智小五郎と黒蜥蜴を演じ、フレッシュな魅力を観客に届けています。

舞台の技術面も非常に高いレベルで演出されています。甲斐正人による音楽、御﨑惠による音楽指揮、羽山紀代美と竹邑類による振付など、各分野のトップクラスのスタッフたちが集結し、作品の世界観を鮮やかに表現しています。大田創による装置、有村淳による衣装、勝柴次朗による照明、そして大坪正仁による音響、伊集院撤也による小道具、木多美生による効果など、細部に至るまでこだわり抜かれた演出は、観客を作品の世界に没入させます。

配役は、主要キャストに加え、数多くの宝塚歌劇団のスターたちが脇役として出演しており、その豪華な顔ぶれも話題となりました。それぞれの役者が、自身の持ち味を存分発揮し、作品に深みと華やかさを添えています。

『明智小五郎の事件簿-黒蜥蜴-』は、原作小説の枠を超えた大胆な解釈と、豪華なキャスト・スタッフ陣による圧巻の演出、そして宝塚歌劇ならではの華麗な舞台装置と衣装が一体となって、忘れられない感動と興奮を観客に提供した、傑作ミュージカルとして記憶されています。この作品は、宝塚歌劇の歴史の中でも特に記憶に残る作品の一つとして、高く評価されています。

主なスタッフ

音楽：甲斐正人
音楽指揮：御﨑惠
振付：羽山紀代美、竹邑類
装置：大田創
衣装：有村淳
照明：勝柴次朗
音響：大坪正仁
小道具：伊集院撤也
効果：木多美生
演出助手：原田諒
舞台進行：香取克英、赤坂英雄
制作：髙田健司

主な配役（宝塚大劇場公演/新人公演）

明智小五郎：春野寿美礼/朝夏まなと
黒蜥蜴：桜乃彩音/野々すみ花
雨宮潤一：真飛聖/扇めぐむ
岩瀬：夏美よう/日向燦
お重：梨花ますみ/初姫さあや
書生（神崎）：大伴れいか/紫陽レネ
天城刑事：高翔みず希/祐澄しゅん
サソリ：鈴懸三由岐/華月由舞
家具屋：眉月凰/天宮菜生
勝代：絵莉千晶/芽吹幸奈
支配人：悠真倫/夕霧らい
波越警部：壮一帆/白鳥かすが
その他多数

参考文献

監修・著作権者：小林公一『宝塚歌劇100年史 虹の橋 渡りつづけて（舞台編）』阪急コミュニケーションズ、2014年4月1日。ISBN 978-4-484-14600-3。
* 監修・著作権者：小林公一『宝塚歌劇100年史 虹の橋 渡りつづけて（人物編）』阪急コミュニケーションズ、2014年4月1日。ISBN 978-4-484-14601-0。

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