明治会堂

明治会堂の歴史と役割

明治会堂（めいじかいどう）は、福澤諭吉と慶應義塾の政治結社によって建設された演説公会堂です。1884年には名称が「厚生館（こうせいかん）」に変更され、東京都中央区銀座に位置します。ここでは政談演説が行われ、数多くの政治活動が展開されました。

建設の背景

1875年に三田演説館が設立され、慶應義塾では「三田演説会」が盛況に開催されていました。しかし、福澤諭吉は外部における演説の場の必要性を感じ、1880年に「明治会堂建築相談会」を設立しました。彼は、門下生たちに会堂の建設計画を相談し、金子堅太郎の助けを受けて、前東京府知事・由利公正の空き邸宅を購入し、1881年1月に会堂を完成させました。これにより東京府下で初の専用の演説会場が誕生しました。

演説会の盛況

福澤諭吉は演説会で「愚論」や「暴説」を強く批判し、質の高い演説を求めましたが、当時の演説は過激さを増し、政府の圧政に対する反発が生まれていきます。1880年、政府は集会条例を発令し演説会に対する監視を強化しましたが、演説会における弁士たちと警官の衝突が名物となり、会場は多くの聴衆で賑わいました。1882年10月には東洋議政会が開催され、多くの著名な政治家や自由党の関係者が集まり、政治活動が活発になりました。

厚生館への変遷

福澤は1883年に会堂の売却を進め、農商務省に譲渡しました。1884年には「厚生館」と名称が改められ、以降は公的な会場として様々な用途に使われました。その後、旅館や多くの団体の集会所としても利用が広がり、教育や文化活動の場ともなりました。また明治13年からは、別館にて夜間法律科の講義が行われており、少しずつ慶應義塾の教育理論や実践が広まっていくこととなりました。

消失とその後

明治会堂は多様な活動の場として賑わいましたが、1923年の関東大震災によって焼失しました。しかし、その歴史は長く語り継がれ、明治時代の政治活動や演説の場としての重要性を示しています。また現地には「明治会堂跡」を示す案内板も立てられ、今なおその痕跡を訪れる人々に思いを馳せさせています。

参考文献

• - 佐々木隆 et al.,『ビジュアル・ワイド明治時代館』小学館, 2005.
• - 福澤諭吉,『福澤諭吉書簡集』第2巻, 岩波書店, 2001.
• - 松崎欣一,『三田演説会と慶應義塾系演説会』慶應義塾大学出版会, 1998.

明治会堂の歴史は、当時の政治活動や言論の自由をはじめとする社会の動向を反映しており、その重要性を今に伝えています。

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