東洋議政会

東洋議政会

東洋議政会は、明治時代前期に慶應義塾（現在の慶應義塾大学）の卒業生を中心に組織された政治結社で、「三田派」という別名でも知られています。慶應義塾内では、早くから演説会が盛んに行われており、特に「三田演説会」のような政談演説会が頻繁に開催されていました。

これらの演説会は、主に二つのグループに分かれていました。一つは、馬場辰猪、西村玄道、犬養毅、波多野承五郎、大石正巳、奥宮健之、竹内正志らが中心となって活動した「政談演説討論会」で、もう一つは、小幡篤次郎、鎌田栄吉、藤田茂吉らが率いた「政談演説会」でした。前者、すなわち「政談演説討論会」は、より急進的な考え方を持ち、後者の「政談演説会」は穏健な立場をとっていました。さらに、馬場辰猪は、田口卯吉や末広鉄腸と共に、より過激な政治結社である「国友会」を設立していました。

穏健派と見られていたこれらのグループは、「明治政談演説会」という組織を結成し、それが「経世社」や「豈好同盟」といった組織を経て、最終的には六つの結社が合併し、矢野文雄の呼びかけによって東洋議政会へと発展しました。この時、矢野は、当時まだ創刊されていなかった『時事新報』の前身である郵便報知新聞社の社員を引き入れました。

東洋議政会の発足時の主要メンバーとしては、吉田憙六、箕浦勝人、尾崎行雄、藤田茂吉、犬養毅、波多野承五郎、加藤政之助、阪元盛得、竹村良貞、高橋間治、井上寛一、松岡直忠、野田精一郎、枝元長辰、矢野可宗、奥田直之助、本山彦一、松岡直忠、大江考之、小栗貞雄、桐原捨三、江木高遠らが名を連ねています。明治15年（1882年）2月12日には、明治十四年の政変で政界を離れた「嚶鳴社」や「鷗渡会」のメンバーと協議し、立憲改進党の結成に加わりました。

東洋議政会は、二院制と立憲君主制を支持し、イギリス型の漸進的な改革を目指していました。その後、伊東専三、中沢文治、角田真平、高梨哲四郎、田淵昇、木村福次郎、岡敬孝、河野敏鎌らが協力するようになりました。

しかし、朝鮮で発生した壬午軍乱を契機に、東洋議政会の機関紙的な存在であった『時事新報』が強硬な主張を展開し、それに対し、嚶鳴社（沼間守一、島田三郎）系の『東京横浜毎日新聞』は慎重な立場を示し、立憲改進党内部で意見の対立が激化しました。この対立は、改正集会条例第八条の「支社を置き、または他の社と連結通信することを禁ずる」という規定により、東洋議政会は解散を余儀なくされることとなりました。

関連事項

交詢社

参考文献

日蘭学会『洋学史事典』雄松堂〈叢書〉、1984年。
松崎欣一『三田演説会と慶應義塾系演説会』慶應義塾大学出版会〈福澤研究センター叢書〉、1998年。ISBN 9784766406917。
慶應義塾百年史. 別巻, 大学編
* 福井淳「交詢社と自由民権運動 : 基礎研究の視点から」『近代日本研究』第22巻、慶應義塾福澤研究センター、2005年、103-131頁、CRID 1050845762324185216、ISSN 0911-4181。

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