明治大学スケート部

明治大学体育会に所属するスケート部は、1925年（大正14年）にその歴史をスタートさせました。部の源流は、1923年頃に明治大学体育会山岳部の一部の部員が、初めて開催される全国学生氷上連盟の大会に参加するため、群馬県の赤城湖畔で合宿を行ったことに遡るとされています。その後、体制を整え、1930年には明治大学体育会に正式に加盟しました。

本スケート部は、フィギュアスケート部門、スピードスケート部門、そしてアイスホッケー部門の三つの競技部門で構成されています。各部門はそれぞれ、日本のスケート界において顕著な功績を残しており、世界選手権や冬季オリンピックなど国際的な舞台で活躍する日本代表選手や、その指導者、さらには競技団体の要職者など、数多くの優れた人材を輩出してきました。

その輝かしい実績から、明治大学スケート部は大学スポーツ界において「氷上の王者」という称賛を得ています。特に、スピードスケート、フィギュアスケート、アイスホッケーの三競技の総合力で大学日本一を競う日本学生氷上競技選手権大会（インカレ）では、過去96回の開催で実に60回もの総合優勝を飾っており、その圧倒的な強さを示しています。

競技部門別の歩み

フィギュアスケート部門は、創部メンバーの一人である久保信氏が、1930年に初めて開催された全日本フィギュアスケート選手権で初代チャンピオンとなったことに始まります。その後も、有坂隆祐氏による全日本選手権5連覇や、小林正水氏による個人4連覇など、歴史に名を刻む選手が続々と登場しました。また、久永勝一郎氏（後に国際スケート連盟副会長、日本スケート連盟会長を歴任）や竹内己喜男氏（冬季オリンピック日本選手団総監督）など、競技のみならずスケート界の運営においても重要な役割を担った人物を輩出しています。インカレでは、第23回大会から第31回大会にかけて9連覇、第55回大会から8連覇を達成するなど、圧倒的な強さを誇りました。近年では、樋口新葉選手や本田真凜選手、佐藤駿選手、三浦佳生選手といった、国内外で活躍するトップスケーターを輩出しています。

アイスホッケー部門は、1923年頃に当時の体育会山岳部員であった新田義夫氏らによる赤城湖畔での合宿が前身とされており、長い歴史を持っています。大学アイスホッケー界を牽引する存在であり、大学三大大会と称される「春季関東大学選手権」、「秋季大学リーグ戦」、「日本学生氷上競技選手権大会（インカレ）」の全てにおいて最多の優勝回数を記録しています。卒業生には、冨田正一氏（日本アイスホッケー連盟会長、国際アイスホッケー連盟殿堂入り）や星野好男氏（アイスホッケー日本代表監督、埼玉西武ライオンズ社長）など、競技界や実業界の要職に就く人材も少なくありません。ユニフォームは、スクールカラーである紫紺を基調とし、胸には明治の「M」と勝利の「V」を組み合わせた伝統的なデザインが施されています。これは、選手が腕を下ろすとM、両手を上げるとVを表す意匠として知られています。

スピードスケート部門からは、元男子500メートル世界記録保持者であり、冬季オリンピック3大会に出場し、バンクーバー大会では日本代表選手団総監督を務めた鈴木恵一氏をはじめ、多数のオリンピアンや指導者を輩出しています。1972年の札幌オリンピックでは、鈴木恵一氏が選手団長と選手宣誓の大役を務めました。近年のオリンピックにおいても、2006年トリノ大会に2名、2010年バンクーバー大会には総監督、コーチ、選手を含め計6名の部関係者を派遣するなど、常に日本のスピードスケート界において存在感を示しています。

このように、明治大学スケート部は創部以来、「氷上の王者」として日本のスケート競技の発展に大きく貢献し、各部門で国内外の舞台で活躍する選手、指導者、そして各界のリーダーとなる人材を数多く送り出しています。その歴史と伝統は、現代にも脈々と受け継がれています。

また、明治大学スケート部のアイスホッケー部門は、漫画『スクラッチタイム』（1987年〜1990年連載）のモデルになったことでも知られています。

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