明治橋 (広島市)

明治橋：広島のシンボル、幾多の変遷を乗り越えた歴史ある橋

広島県広島市元安川に架かる明治橋は、その名の通り明治時代に架けられた歴史を持つ橋です。幾度かの架け替えを経て、現在の姿となりました。元々は国道2号が通る重要な橋でしたが、現在は市道中1区328号線として、広島市民の生活を支えています。

明治橋の構造とデザイン

現在の明治橋は、建築家内藤廣氏によるデザインで、木製の欄干が特徴的な洗練されたデザインとなっています。橋の長さは73.4メートル、幅は17.8メートルで、3径間連続鋼床版鈑桁橋という構造になっています。RC逆T式橋台、RC壁式橋脚、鋼管杭基礎など、堅牢な設計が施されています。

明治橋の歴史：激動の時代を映し出す

明治橋の歴史は、日本の近代化と激動の時代を反映しています。藩政時代には、防衛上の理由から元安川には架橋規制があり、上流の元安橋しか存在しませんでした。明治時代になり、架橋規制が解かれると、1886年（明治19年）、地元住民の手によって木橋が架けられました。通行料を徴収していたという興味深いエピソードも残っています。しかし、その後、水害で流失し、1928年（昭和3年）に鉄筋コンクリート桁橋に架け替えられました。

1945年（昭和20年）8月6日、広島市への原爆投下という未曽有の災禍に見舞われました。爆心地から1.29キロメートルという近距離にありながら、落橋を免れ、多くの被爆者が避難路として利用しました。橋のたもとには臨時の救護所が設けられ、負傷者たちが宇品や似島へ搬送されました。しかし、同年9月には枕崎台風により、残念ながら落橋してしまいました。

戦後、1950年代に鋼鈑桁橋として再建され、国道2号の橋として機能しました。1966年（昭和41年）には、上流側に新明治橋が建設され、国道2号はそちらに移りました。その後も長年使われ続けましたが、老朽化に伴い、2006年（平成18年）に現在の橋に架け替えられました。

明治橋周辺の環境

明治橋の東詰は大手町5丁目、西詰は住吉町に位置し、周辺にはタカノ橋商店街や広電鷹野橋停留場などがあり、生活に密着した環境となっています。上流には新明治橋、下流には南大橋があり、元安川沿いの歴史と文化を感じられるエリアとなっています。かつてこの一帯には、観音橋や住吉橋など、明治橋と共に元安川に架かっていた橋がありました。

まとめ：未来へと繋がる歴史の証

明治橋は、単なる橋ではなく、広島の歴史と人々の生活を映し出す貴重な存在です。明治時代の架橋から、原爆投下、台風被害、そして最新の架け替えまで、幾多の困難を乗り越えてきた歴史は、未来へと繋がる貴重な遺産です。訪れた際には、その歴史に思いを馳せながら、美しいデザインと周辺環境をじっくりと楽しんでください。

もう一度検索