明治通宝

明治通宝について

明治通宝（めいじつうほう）は、明治時代の初期に発行された日本政府の紙幣であり、特に西洋式印刷技術を用いた初の紙幣として歴史に名を刻んでいます。この紙幣は「ゲルマン札」とも呼ばれ、ドイツのフランクフルトで製造されたことからその名が付けられました。また、発行が告知されたことにより「新紙幣」とも認識されています。

歴史的背景と発行の経緯

1869年（明治2年）、新政府が誕生した際、明治政府はオリエンタル・バンクとの間で貨幣の鋳造に関する契約を結びました。この時期、日本は戊辰戦争の軍事費を賄うために多くの紙幣を発行しており、官民様々な種類の紙幣が流通していました。これらは岡藩札など旧時代の札を踏襲しており、偽造が非常に多発していました。

1870年、松方正義が太政官札の偽造を発見したことがきっかけとなり、より近代的な通貨の導入が喫緊の課題とされました。最初はイギリスでの発注を計画していましたが、北ドイツ連邦のドンドルフ・ナウマン社が日本に対して印刷技術の移転を提案したため、これを受け入れることとなります。こうした背景の中、1871年にドイツから印刷された未完成の紙幣が届き、最終的には日本国内で「明治通宝」の文言や大蔵卿印を加えて完成させました。

特徴とデザイン

明治通宝は1872年4月に発行され、多くの民衆に新たな時代の象徴として歓迎されました。紙幣は縦型のデザインで、表面には鳳凰と龍が描かれ、裏面には様々な模様が施されています。特に全券種が同一デザインであったため、額面の異なる紙幣が混同されることが多く、不正行為が横行しました。加えて、紙質が日本の気候条件に合わず、変色や損傷が頻発するという問題も抱えていました。

廃止とその後

明治通宝の流通期間は丸10年間に及び、最初は西南戦争の軍事費にも利用されましたが、1881年には改造紙幣に取って代わられ、1899年には法律に基づいて廃止されることとなりました。これにより日本は日本銀行券へ一本化されました。明治通宝の発行時のデザインは、後年の軍票や他の銀行券にも影響を与えました。

明治通宝は、今では数少ない現存数を持つ紙幣とされ、その価値は古銭市場で高騰しています。本券の発行は、日本の貨幣制度の近代化を象徴する重要な出来事であり、その歴史的意義は現在でも研究され続けています。

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