星 (クルアーン)

『星』 - クルアーン第53章の概要

『星』は、イスラームの聖典クルアーンにおける第53番目の章（スーラ）で、全62節から構成されています。この章はマッカで啓示され、主に神の意志や啓示の正しさ、アッラーフ（神）の偉大さについて述べられています。

内容の概要

この章は、「沈みゆく星にかけて」という言葉から始まります。この冒頭の表現から、この章の名称が取られています。内容はアッラーフの万有に関する深い理解を促すもので、信者に対してその信仰を再確認させるような文脈があります。

特に注目すべきは、14節から16節にかけての表現です。ここでは「スィドラ」と呼ばれる聖木に言及されています。また、49節にはシリウスの名前が登場し、宇宙の神秘についても触れられています。そして、最後の62節は特別な意味を持ち、「サジダ節」として知られています。多くのハディースによると、この章は信者にサジダ（礼拝の一部で頭を地面に付けること）を行うように指示した最初の章とされています。

ガラーニークの逸話

また、19節と20節では、イスラーム以前の多神教に関する神々、アッラート、ウッザー、さらには第三の神マナートについて触れられます。ここで有名な「ガラーニークの逸話」が登場します。この逸話は、シャイターン（悪魔）によるまやかしがあったようで、彼の影響でこれらの神々が「偉大な白鳥」とされ、彼女たちの執り成しが期待されるという発言が追加されたと伝えられています。

この言葉を聞いた多神教の信者たちは喜びましたが、その夜、ジブリール（啓示を伝える天使）がムハンマドの元に現れ、これが神の啓示ではないと告げたため、ムハンマドは深い悲しみに包まれ、その部分を章から取り除くことになったとされています。歴史的には、この逸話はイスラーム批判に利用されることもあります。アンカラ大学のイブラーヒム・サルチャムは、タバリーやイブン・サアドなどの伝承に基づき、伝説がどのように利用されるかについて考察を加えています。

参考文献とその他の情報

この章に関する詳しい情報や文献については、以下の参考文献を参照してください。

• - 『聖ムハンマド その普遍的教え Vol.1』東京・トルコ・ディヤーナト・ジャーミイ、2011年。
• - 守川知子の研究論文《ムハンマド・ブン・マフムード・トゥースィー著『被造物の驚異と万物の珍奇』(10)》、『イスラーム世界研究』第10巻、2017年。

また、日本語訳のクルアーンについては、公式の日本ムスリム情報事務所のウェブサイトを訪れることで入手可能です。

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