星玲子

星玲子：華麗なる昭和女優の生涯

星玲子（ほしれいこ、1915年1月2日-2003年10月24日）は、昭和初期を代表する女優であり、歌手としても人気を博しました。本名は多田琴子。東京生まれの彼女は、宝塚歌劇団でダンサーとしてのキャリアを積んだ後、1932年、17歳で日活に入社し、映画界へと足を踏み入れます。

デビュー作『大地に立つ』以降、次々と映画に出演。杉狂児氏との共演作『のぞかれた花嫁』や、ディック・ミネ氏とのデュエットでヒットした『二人は若い』『ゆかりの唄』など、女優業だけでなく歌手としても才能を発揮しました。若くして映画界で成功を収めた彼女は、20歳の時に映画プロデューサーのマキノ光雄氏と結婚。マキノ光雄氏は、日本の映画界に大きな足跡を残した名プロデューサーとして知られており、この結婚は当時の芸能界でも大きな話題となりました。

日活時代には、『女の階級』『うちの女房にゃ髭がある』『丹下左膳』など、数多くの現代劇作品に出演し、その演技力で高い評価を獲得しました。多様な役柄を演じ分け、戦前の日本映画界を彩る人気女優の一人として活躍しました。しかし、1939年、24歳の若さで芸能界を引退します。

引退後は、夫であるマキノ光雄氏と共に満州へ渡り、夫の東映専務としての業務を支えました。夫の仕事ぶりを間近で見ていた星玲子は、夫の成功を影から支える献身的な妻であったと言われています。1957年、42歳の時に夫を亡くすという悲しみを経験します。

夫の死後も、彼女は自身のペースで静かに人生を歩みました。公の場にはあまり姿を現すことはなく、その後の生活についてはあまり知られていません。2003年、88歳で肺炎のため亡くなりました。

星玲子のフィルモグラフィーは、実に多岐に渡ります。日活時代には、『大地に立つ』『上海爆撃隊 征空大襲撃』『海に散る花』『桃色の娘』『娘十六』『母の微笑』『のぞかれた花嫁』『女の階級』『うちの女房にゃ髭がある』『丹下左膳』など、多くの作品に出演し、それぞれで異なる魅力を発揮しました。これらの作品は、現在では貴重な戦前の日本映画として、映画史研究の資料として活用されています。また、時代劇から現代劇まで幅広く演じている点も注目に値します。晩年の様子は謎に包まれていますが、彼女が日本の映画史に重要な足跡を残したことは間違いありません。

星美智子という女優は、星玲子の姪にあたると言われています。星美智子もまた、戦後東映で活躍した著名な女優です。彼女と星玲子の親族関係は、日本の映画史において興味深い一側面となっています。

星玲子の生涯は、華やかな女優時代から、夫を支えた家庭人としての生活、そして静かな晩年と、様々なドラマが詰まったものでした。彼女の存在は、昭和初期の映画界を彩った数多くのスターたちの中でも、特筆すべき存在と言えるでしょう。彼女の功績は、これからも日本の映画史に語り継がれていくことでしょう。

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