星野安三郎

星野安三郎（ほしの やすさぶろう）

1921年5月6日、栃木県日光市に生まれた日本の法学者。憲法学と教育法を専門とし、東京学芸大学名誉教授、立正大学名誉教授を歴任しました。平和と民主主義を追求し、実践的な活動も行ったことで知られています。

生涯

旧制第二高等学校を経て、1943年に東北帝国大学法文学部法学科に入学。しかし、入学直後に入営し、戦後復員後に復学しました。1947年に同大学を卒業後、東北大学特設研究科に進み、1948年に修了。同年、東京第三師範学校長の田中保房に誘われ、同校の講師に就任しました。その後、学制改革に伴い、東京学芸大学の講師、助教授、教授として長年にわたり研究・教育活動に尽力しました。

1975年には日本学術会議中央選挙管理委員長に就任しましたが、1981年に定年を1年残して東京学芸大学を退任。その後、立正大学教授となり、法学部長を務めました。1992年に立正大学を退職し、1986年には日本教育法学会会長に就任。新名学園私学教育研究所の初代所長も務めました。

研究と活動

星野安三郎は、憲法9条護持、天皇制批判の立場を貫いた憲法学者であり、「平和的生存権」を提唱したことで知られています。また、「平和を守る科学者の会」や「わだつみ会」、「安保問題研究会」などの平和運動にも積極的に参加しました。教育法分野においても精力的に研究を行い、「日本教育法学会」会長として活躍し、「子どもの人権と体罰研究会」の代表も務めるなど、子どもの権利擁護にも尽力しました。

1995年には、憲法みどり農の連帯共同代表として参議院選挙に出馬しましたが、惜しくも落選しました。しかし、その活動は社会に大きな影響を与えました。

主な著書

『憲法と教育 平和と民主教育の実践』（1961年、法律文化社）
『憲法』（1966年、勁草書房）
『憲法と国民感情 そのひろがりとふかさの分析』（1966年、社会新報）
『憲法に生きる 法律学者の歩み』（1968年、三省堂新書）
『母と教師の憲法読本 子どもと婦人のしあわせのために』（1968年、労働旬報社）
『戦後日本の教育と憲法 その歴史的展開』（1971年、新評論）
『憲法を考える』（1972年、ポプラ社）
『平和に生きる権利』（1974年、法律文化社）
『われら平和憲法人 平和的共存権の確立のために』（1984年、平和文化）

共編著

『世界の議会 その制度と実態』（1959年、至誠堂）
『憲法改正』（1962年、三一新書）
『日本国憲法史考 戦後の憲法政治』（1962年、法律文化社）
『自衛隊』（1963年、三一新書）
『表現の自由 大衆行動の権利』（1969年、法律文化社）
『学問の自由と教育権』（1969年、成文堂）
『憲法副読本』（1975年、文真堂）
『教科書の検定』（1982年、四星社）
『自衛隊の海外派兵 君は「国際平和」の美名で銃をとるか?』（1991年、社会批評社）
『日本国憲法平和的共存権への道 その世界史的意味と日本の進路』（1997年、高文研）

記念論集

『平和と民主教育の憲法論 星野安三郎先生古稀記念論文集』（1992年、勁草書房）

星野安三郎は、その生涯を通じて憲法と教育のあり方を深く考察し、平和と民主主義の実現に向けて尽力した人物として、後世に語り継がれています。

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