春日向山古墳

春日向山古墳

春日向山古墳は、大阪府南河内郡太子町春日に位置する古墳時代終末期の方墳です。二上山山麓の磯長谷にあり、磯長谷古墳群を構成する一つです。現在は宮内庁の管理下にあり、用明天皇の陵として治定されています。

概要

古墳は春日集落の南西端の台地上に築かれ、南向きに位置しています。墳丘は3段に築成されたと推測され、東西約65メートル、南北約60メートル、高さ約10メートルの方形です。墳丘の周囲には幅約7メートルの空壕が巡らされ、壕の外堤を含めた古墳の全長は東西約100メートル、南北約90メートルに及びます。墳丘からは埴輪は確認されていません。

埋葬施設については、詳しいことは分かっていませんが、古文書には横穴式石室の存在を示唆する記述があります。また、巨石が露出しているという記録もあり、横穴式石室の部材である可能性が考えられています。これらの情報から、古墳は7世紀前半頃に築造されたと推定されています。

春日向山古墳の形状は、石舞台古墳（奈良県明日香村）との関連が指摘されており、同一の設計思想に基づいて築造された可能性があります。この古墳が用明天皇陵である場合、天皇陵としては最初期の方墳と位置づけられます。

被葬者

春日向山古墳の実際の被葬者は不明ですが、宮内庁は用明天皇の陵として治定しています。『日本書紀』によると、用明天皇は587年に崩御し、当初は「磐余池上陵」に葬られましたが、後に「河内磯長陵」に改葬されたとされています。また、『古事記』には「御陵在石寸掖上、後遷科長中陵也」と記述されています。

『延喜式』には、用明天皇陵は遠陵の「河内磯長原陵」として記載されており、兆域は東西2町・南北3町、守戸3烟が置かれていたと記されています。その後、1864年に修補と拝所の設置が行われ、1899年には御在所の修理が実施されています。

初葬地の「磐余池上陵」については、詳しいことは不明ですが、一説には奈良県桜井市阿部付近と推定されています。

まとめ

春日向山古墳は、7世紀前半に築造された方墳であり、当時の古墳文化を知る上で重要な遺跡です。被葬者は不明ですが、用明天皇陵として管理されており、その歴史的価値は非常に高いと言えます。石舞台古墳との関連性や、天皇陵としての初期の方墳であることなど、多くの興味深い要素を持つ古墳です。

参考文献

『国史大辞典』吉川弘文館
遠山美都男 「用明天皇」、石田茂輔 「河内磯長原陵」（用明天皇項目内）
「向山古墳」『日本歴史地名大系 28 大阪府の地名』平凡社、1986年
高島徹「用明天皇陵古墳」『日本古墳大辞典』東京堂出版、1989年
「用明天皇陵」『王陵の谷・磯長谷古墳群 -太子町の古墳墓-』太子町教育委員会（太子町立竹内街道歴史資料館）、1994年

関連項目

用明天皇

外部リンク

河内磯長原陵 - 宮内庁
用明天皇陵 - 太子町ホームページ

もう一度検索