春日正伸

春日 正伸（かすが まさのぶ）

春日正伸（1931年11月4日 - 2012年9月18日）は、日本の音響監督として知られる著名人です。彼は音響業界に多大な影響を与え、特に日本における声優やアフレコの発展に寄与しました。彼の息子も音響監督として活躍しており、その遺伝子は受け継がれています。

経歴

春日は幼少期から映画に興味を持ち、映画好きとして知られていました。若い頃は日活に所属しており、映画業界の基礎を学びました。また、NETテレビで放送された映画評論家の対談番組『洋画サロン』に関わり、この番組で映画の解説や演出の技術を磨いていきました。1961年から放送されたアメリカの海外ドラマ『ララミー牧場』では演出を手掛け、吹き替えに新しい風を吹き込みました。特に、主人公のセリフに「べらんめえ口調」を導入したことは、視聴者に受け入れられ、同年の視聴率ランキングで1位を獲得しました。

以降、彼は数々の作品で日本語吹き替えの演出を担当し、アニメーションの音響監督業務にも携わりました。特に、吹き替えの黎明期において、その手腕を発揮した大ベテランでした。春日は教育者としても活動し、大平透声優ゼミナールの講師を務め、数多くの声優を育てました。彼の教え子には飛田展男や茶風林などがいます。

2012年に80歳で逝去するまで、彼は日本の音響業界に多大な影響を与え続けました。

人物・エピソード

春日の趣味はゴルフや車であり、普段の生活でもその情熱は変わらなかったと言われています。彼はキャスティングにおいて一貫して同じ役者を起用することが多く、業界内では「春日組」や「御大組」として知られていました。特に、石丸博也が声を担当した『マジンガーZ』の主演キャラクター兜甲児やジャッキー・チェンの吹き替えの際には、初めて石丸を起用したのも春日でした。

春日は、テレビでの吹き替え演出に関して独自の見解を持っていました。映画とテレビの視聴体験は異なると考え、インタビューでは「多少本編から逸れても、視聴者が楽しめればいい」と語っています。その結果、彼の演出スタイルには、意外性やアクションを通して豊かな感動を与える工夫が見られました。

また、春日は無音のシーンに鈴虫の鳴き声を追加するなどの独自の試みを行っており、これが「春日虫」という業界用語に繋がりました。彼はアフレコの際に緊迫感を生むために、出演者との雑談を交えて雰囲気を高める技術を用いていました。これにより、特に『戦争と平和』の一シーンでは、演技に圧巻の感情をもたらしたと言われています。

また、彼の手掛けた作品には『リオ・ブラボー』や『怒りの荒野』、さらに『駅馬車』があります。春日は『駅馬車』に対して「日本語版の方が優れている」と自負しており、独自の工夫で音声を制作したため、特にこの版に思い入れを持っていました。

主な参加作品

春日は、多岐にわたる作品に関与しました。

映画

• - アルカトラズからの脱出（テレビ朝日版）
• - 怒りの荒野
• - 駅馬車（NETテレビ版）
• - ダーティハリーシリーズ
• - ダイハードシリーズ など

テレビドラマ

• - ララミー牧場
• - ピケット・フェンス

海外アニメ

• - ザ・シンプソンズ（シーズン1のみ）
• - トムとジェリーの大冒険 など

春日正伸の功績は、音響監督としての技術や独自のスタイルが現在の日本のアフレコ文化に深く根付いていることを示しています。

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