春風亭柳枝 (3代目)

三代目 春風亭 柳枝について

概要

三代目春風亭柳枝（しゅんぷうてい りゅうし、1852年11月4日 - 1900年11月14日）は、東京生まれの著名な落語家であり、本名は鈴木文吉です。彼は「蔵前の柳枝」や「蔵前の大虎」といった愛称で知られるほど、当時の生活様式や酒好きの性格が印象的でした。

経歴

柳枝の人生は、挫折と成功が交錯するものでした。幼少期に父を失い、1871年に柳亭燕枝の門下に入門します。彼の成長は早く、明治5年ごろには二代目柳亭燕寿に昇進し、1873年には真打ちとして初代柳亭燕路と名乗りました。1878年に三代目柳枝の名を継いだ彼は、長い間柳派の頭取としてその地位を示しました。

しかし、四代目麗々亭柳橋に頭取を譲った際、柳橋もすぐに亡くなってしまい、再びその重責を担うことになりました。残念ながら、柳枝もその後急逝し、彼が柳派に残した影響の大きさが証明されています。

人物

三代目柳枝を評価する声は分かれています。六代目三遊亭圓生は彼の落語を「非常にまずかった」と表現し、初代伊藤痴遊も彼の話芸が巧みでも客を引きつけることができなかったと指摘しました。酒を好むあまり、楽屋での酒盛りを優先することもあった彼ですが、師匠の燕枝が弟子を取らなかったため、数多くの俊才たちを指導することになりました。

また、彼の弟子には、後の著名な落語家たちが名を連ねており、その指導力や影響力は計り知れません。特に、春風亭柳朝や初代柳家つばめ、5代目金原亭馬生など、多くの弟子を育て上げました。

エピソード

柳枝のエピソードは、彼の魅力を物語っています。特に、日清戦争時に神田の「白梅」での出来事が有名です。出演者が不足していた際、彼は泥酔した状態で登場し、「柳枝が今日はするから、聞いてください」と叫びました。人情噺『文七元結』を興奮を持って演じた結果、観客は感動の渦に包まれましたが、その途中で自ら高座で寝入ってしまったというのです。このことは、彼の落語の実力と同時に、酒好きな一面を象徴するエピソードとして語り継がれています。

痴遊はこの日のパフォーマンスについて、「普段はくすぶっていたが、この夜は特に巧かった」と称賛し、後の世に話題となりました。

弟子とその影響

柳枝は一門弟子たちの育成に力を注ぎました。彼の影響を受けた弟子には、3代目三升家勝次郎や4代目柳亭左楽、春風亭桃枝など、多くの名が挙がります。さらに、彼は自身の弟子だけでなく、他の流派の落語家たちにも支援の手を差し伸べていたこともあり、そのネットワークは非常に広がっていました。

彼自身は長く落語界に留まりましたが、その後の落語文化にも多大な影響を与え続けました。

結論

三代目春風亭柳枝は、落語界に多くの弟子を持ち、彼の名声と影響は今なお静かに息づいています。彼の人生と芸は、時代を超えて多くの人々に愛されつづけています。

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