昭代 (福岡市)

福岡市早良区の北部、都心部である天神などからおよそ4.5キロメートル西南西に位置するのが、昭代（しょうだい）です。この地域は、行政区画としては昭代一丁目から三丁目までを擁しており、総面積は31.04ヘクタールに及びます。2022年9月末時点では、5,754人の人々が暮らしていました。郵便番号は814-0012です。

地理的には、昭代の北側は高取および祖原、東側は曙、南側は荒江と原、そして西側は藤崎に囲まれています。地域内の大部分は、閑静な住宅地として利用されています。また、三丁目のエリアには、金屑川の支流にあたる汐入川（準用河川に指定）が静かに流れています。

福岡市が定める都市計画マスタープランにおいて、昭代はいくつかの重要な位置づけを持っています。都市の骨格をなす交通ネットワークとして、東側を通る早良街道や、南側を掠める幹線道路である鳥飼姪の浜線沿いは、『都市軸』あるいは『沿道軸』とされ、商業施設やオフィス、サービス機能、さらには中高層の住宅が連なるエリアと位置づけられています。昭代そのものは、藤崎、西新、シーサイドももちを含む『西部広域拠点』と呼ばれる副都心エリアの南側外縁部に当たります。住宅地としては、中層から高層の建築物で構成される『中高層住宅ゾーン』として位置づけられており、良好な住環境を守り育むことが、まちづくりの重要な視点とされています。用途地域を見ると、町の東側を通る早良街道の境界線から西へおよそ30メートルの範囲が近隣商業地域に、それ以外の大部分は第一種住居地域に指定されており、住環境の保護が図られています。

この地名の由来は、昭和天皇が即位された際の重要儀式、大嘗祭に遡ります。1928年11月に京都で執り行われたこの儀式に際し、献上する新米を作るための神聖な田である『主基斎田（すきさいでん）』に、早良郡脇山村（現在の早良区脇山にあたる地域）が選ばれました。同年10月、そこで収穫された3石（およそ450キログラム）の献上米は、北九州鉄道の西新町駅から鉄道と鉄道連絡船を使って京都へと運ばれました。この献上米は、新しい時代の幕開けである『昭和の御代』を象徴する願いを込めて『昭代』と名付けられました。この『昭代』という言葉こそが、現在の地名が生まれる直接のきっかけとなったのです。ちなみに、献上米が出発した西新町駅は、1937年に国有化されて国鉄筑肥線の一部となると同時に、現在の西新駅へと改称されています。

歴史をたどると、この地域はかつて町名の変遷を経てきました。1937年には、西新駅を含むその北側一帯にあたる西新町、大字庄、大字原、大字荒江の各一部が大字として統合・改称され、昭代町一丁目から四丁目となりました。さらに時代が下り、1969年の住居表示実施に伴い、この昭代町に加えて、麁原（そはら）や紅葉町の一部も再編され、現在の昭代一丁目から三丁目が成立しました。

交通の面では、町域内に鉄道駅はありませんが、福岡市地下鉄空港線の藤崎駅や西新駅などが比較的近くにあり、公共交通の便も利用可能です。道路については、前述の早良街道や鳥飼姪の浜線といった幹線道路が地域を通り、自動車での移動にも便利です。バス路線については、西日本鉄道が運行する路線が地域を網羅しており、昭代一丁目、昭代二丁目、昭代三丁目にそれぞれ停留所が設けられています。

地域内には高取幼稚園があり、教育施設が点在します。小学校は福岡市立高取小学校の校区となり、中学校は町外にある高取中学校（原三丁目）の校区に含まれます。公共・公益施設も複数存在し、住民生活を支えています。

近隣には歴史を感じさせる名所旧跡も存在します。隣接する祖原にある祖原公園内には、かつての元寇の際に戦われた麁原元寇古戦場跡や、五穀豊穣を願う石碑が静かに佇んでおり、地域の歴史を今に伝えています。

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