第一種住居地域

第一種住居地域：静かで快適な住宅環境を守る地域

第一種住居地域は、都市計画法で定められた用途地域の一つであり、良好な住環境を確保することを目的としています。住宅を中心とした落ち着いた地域づくりを目指し、建築物に関する様々な制限が設けられています。騒音や混雑を抑制し、安全で快適な生活空間を保全するために、建築物の種類や規模、容積率、建ぺい率などに制限が課せられています。

用途制限：静穏な生活環境の維持

第一種住居地域における用途制限は、建築基準法令を基に定められています。以下、床面積は合計面積、階数は当該用途部分の階数を指します。

許可される用途:

住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿は原則として許可されます。
兼用住宅は、住宅部分と店舗部分がそれぞれ独立して扱われ、第一種低層住居専用地域の兼用住宅と同等の規制を受ける場合は許可されます。それ以外の兼用住宅は、床面積3000m²以下の制限があります。
第一種中高層住居専用地域の店舗等と同等の規制を受ける店舗等は許可されます。それ以外の店舗等は、床面積3000m²以下の制限があります。
幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校、専修学校等の教育施設は許可されます。
図書館、美術館、博物館等の文化施設は許可されます。
病院、診療所、保育所、老人ホーム、福祉施設なども許可されます。
公共施設（警察署、消防署、郵便局等）も許可されます。
一定の要件を満たす電気通信、電気、ガス、水道等の施設も許可されます。
近隣公園内の公衆便所や休憩所、バス停の上屋なども許可されます。

制限される、または許可されない用途:

事務所、ホテル（ラブホテルを除く）、旅館、展示場、運動施設などは、床面積3000m²以下の制限があります。
マージャン店、パチンコ店、射的場、賭博関連施設、カラオケボックス、劇場、映画館、キャバレー、ナイトクラブ、風俗関連施設などは、原則として許可されません。
倉庫業を営む倉庫、畜舎（単独および建築物附属物）、工場（一定規模を超えるものや危険物を取り扱うもの）、自動車修理工場（一定規模を超えるもの）なども制限があります。
自動車教習所は、事実上許可されません。

建ぺい率と容積率：建築物の規模制限

第一種住居地域では、建ぺい率と容積率が制限されています。建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合で、50%、60%、80%のいずれかが都市計画で定められています。容積率は、敷地面積に対する建築物の延べ面積の割合で、100%、150%、200%、300%、400%、500%のいずれかが都市計画で定められています。特定の条件下では、これらの数値の緩和が認められる場合があります。

その他の制限：快適な生活環境を守るための規制

斜線制限: 道路斜線制限と隣地斜線制限が適用されます。北側斜線制限は適用されません。
日影規制: 条例で定められた区域において、高さ10メートルを超える建築物が規制を受ける場合があります。
暴力団排除条例: 自治体によっては、暴力団事務所の開設が禁止されている場合があります。
* 風俗営業規制: 自治体によっては、風俗営業所の設置が制限されている場合があります。

まとめ：住環境の質を高めるための規制

第一種住居地域は、住宅の環境を守るための様々な規制を設けることで、静かで安全、そして快適な生活環境の維持・向上に貢献しています。これらの規制は、地域住民の生活の質を高め、地域社会全体の活性化にも繋がります。それぞれの制限の詳細は、該当する自治体の都市計画条例等を確認する必要があります。

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