昭和残侠伝 血染の唐獅子

昭和残侠伝 血染の唐獅子

『昭和残侠伝 血染の唐獅子』は、1967年に公開された東映製作の任侠映画。監督はマキノ雅弘、主演は高倉健。昭和残侠伝シリーズの第4作にあたる。

あらすじ

舞台は昭和初期の浅草。上野での博覧会建設を巡り、地元の鳶職を取りまとめる鳶政一家と、博徒・阿久津組が激しく対立していた。阿久津組は、博覧会建設の利権を手中に収めるため、卑劣な手段を弄する。鳶政一家の親分である鳶政は、阿久津組の卑劣な策略によって命を落とす。

親分を失った鳶政一家をまとめ、新たな組頭となったのは、兵役から帰還した花田秀次郎（高倉健）だった。秀次郎は、亡き親分の無念を晴らし、阿久津組の悪事を阻止しようと奔走する。

一方、阿久津組の代貸しである重吉（池部良）は、秀次郎とは幼馴染であり、妹の文代（藤純子）は秀次郎の恋人という複雑な関係にあった。重吉は、阿久津の非道なやり方に心を痛めながらも、義理と人情の間で苦悩する。

阿久津は、市の土木局長である高見沢を買収し、博覧会建設の入札を有利に進めようと画策する。しかし、秀次郎は阿久津の不正を暴き、その企みを阻止する。阿久津組の横暴はエスカレートし、鳶政一家の者にまで及ぶ。鳶政一家の音吉が芸者染次を身請けするため質屋に入れた一家の纒（まとい）が阿久津の手に渡る。取り戻しに行った音吉は殺され、阿久津に身を売る約束で纏を取り返した染次は自殺する。

怒りに燃える一家を抑え、工事に全力を注がせる秀次郎であったが、工事現場へ放火され、ついに勘忍袋の緒が切れた。阿久津の悪行を再三たしなめ破門された重吉と共に、阿久津組に殴り込む。

キャスト

花田秀次郎：高倉健
風間文代：藤純子
風間重吉：池部良
阿久津剛三：河津清三郎
聖天の五郎：水島道太郎
高見沢耕作：金子信雄
お坊主竹：津川雅彦
一升舛の音吉：山城新伍
染次：牧紀子
鳶政：加藤嘉

スタッフ

監督：マキノ雅弘
製作：東映

主題歌

『昭和残侠伝』
作詞：水城一狼・佐伯清
作曲：水城一狼
唄：高倉健

概要

本作は、義理と人情、そして愛憎が渦巻く人間模様を描いた任侠映画の傑作として、多くのファンに愛されている。高倉健の寡黙ながらも熱い演技、藤純子の可憐な姿、池部良の苦悩に満ちた表情など、俳優陣の熱演も見どころである。マキノ雅弘監督の演出も冴え渡り、シリーズの中でも高い評価を受けている作品。

浅草を舞台にした昭和初期の雰囲気が見事に再現されており、当時の風俗や文化に触れることができる点も魅力の一つ。博覧会建設を巡る利権争いや、ヤクザたちの抗争など、社会の裏側を描いた描写も見逃せない。

『昭和残侠伝 血染の唐獅子』は、任侠映画ファンだけでなく、時代劇や人間ドラマが好きな人にもおすすめできる作品である。

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