昭和2年度艦艇補充計画

昭和2年度艦艇補充計画

概要

昭和2年度艦艇補充計画は、1927年（昭和2年）度から5か年計画で、日本海軍が27隻の艦艇を建造した軍備計画です。この計画は、ワシントン軍縮条約後の海軍力不足を補うため、老朽艦の代替と戦力増強を目的としていました。計画には、前年度に予算が成立した艦艇も含まれています。

ワシントン軍縮条約締結後、日本海軍は大正12年度艦艇補充計画を策定しましたが、この計画では必要兵力の6割程度の補助艦艇しか整備できませんでした。また、老朽艦の廃棄も予定されており、戦力低下は避けられない状況でした。この状況を打開するため、1924年（大正13年）には、航空母艦1隻、巡洋艦12隻、駆逐艦36隻、その他合計115隻の補助艦艇を建造する大規模な計画が立案されました。しかし、この計画には約9億円という巨額な予算が必要であり、実現は困難でした。

そこで、老齢艦の代艦として43隻の艦艇を建造する計画に修正し、約3億2千500万円の予算を要求しましたが、これは承認されませんでした。翌年には計画を37隻に縮小して再度予算を請求しましたが、1926年（大正15年）度に4隻の駆逐艦の建造が認められたのみでした。残りの33隻については改めて協議が行われ、そのうち27隻の建造予算が1927年（昭和2年）にようやく成立しました。

計画の推移

1924年（大正13年）2月：軍令部が1925年（大正14年）度からの6か年で115隻を建造する計画を要求。
1924年（大正13年）9月：1926年（大正15年）度からの5か年で、老朽艦の代艦として43隻を建造する予算案が提出。
1925年（大正14年）10月：1926年（大正15年）度からの5か年で、老朽艦の代艦として37隻を建造する予算案が提出。
1926年（大正15年）3月：第51帝国議会で、1926年（大正15年）度からの2か年で駆逐艦4隻の建造予算が承認。
1926年（大正15年）8月：1927年（昭和2年）度からの4か年で、老朽艦の代艦として33隻を建造する計画が策定。
1927年（昭和2年）3月：第52帝国議会で、1927年（昭和2年）度からの5か年で艦艇27隻を建造する予算が承認。

艦艇建造

大正15年度

大正15年度には、2か年計画で駆逐艦4隻の建造が認められ、総予算は26,110,400円でした。

吹雪型[[駆逐艦]]（I型）：4隻
第40号駆逐艦（東雲）、第41号駆逐艦（薄雲）、第42号駆逐艦（白雲）、第43号駆逐艦（磯波）

昭和2年度

1927年（昭和2年）度から1931年（昭和6年）度までの5か年計画で、以下の27隻の艦艇が建造されました。総予算は16,310,040円でした。

水上機母艦：1隻（8,000トン型）
龍驤（後に航空母艦に計画変更）
偵察巡洋艦：4隻（10,000トン型）
高雄型：高雄、愛宕、摩耶、鳥海
駆逐艦：15隻（1,900トン型）
吹雪型[[駆逐艦]]（I型改、II型、III型）：浦波、綾波、敷波、朝霧、夕霧、天霧、狭霧、朧、曙、漣、潮、暁、響、雷、電
潜水艦（巡洋）：1隻（2,500トン型）
伊1型改（巡潜1型改）：伊5
潜水艦（高速）：3隻（1,630トン型）
伊65型（海大5型）：伊65、伊66、伊67
敷設艦：1隻（1,200トン型）
八重山
砲艦（小）：2隻（250トン型）
熱海型：熱海、二見

その後

将来的な艦艇建造の増加を見越し、建造予算の一部（652,468円）が昭和4年度から6年度にかけて、設計部門の増員と臨時の潜水艦部設立の費用に充当されました。

航空隊

当初計画では、大正15年度から5か年で陸上航空隊11隊を増強する計画も含まれていました。内容は以下の通りです。

飛行艇隊：1隊
水上偵察隊：3.5隊
水上攻撃隊：3.5隊
陸上機（戦闘）隊：3隊
気球隊：1隊
水上部隊：艦載機、水上偵察機など96機

この計画は、海軍の航空戦力増強を目的としていました。

参考文献

* 防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書 海軍軍戦備<1> 昭和十六年十一月まで』朝雲新聞社、1969年

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