昭和41年台風第4号

昭和41年台風第4号（国際名：キット）について

1966年6月23日に発生した台風4号は、その後の日本に大きな影響を与えた台風です。

概要

台風4号の発生から消滅までの過程を詳しく見ていきましょう。

発生

6月20日、ミクロネシア連邦チューク州近海で初期の擾乱が確認されました。この擾乱は西に進み、日本の気象庁は同日中に熱帯低気圧と認定しました。合同台風警報センターも6月22日にこの分類を承認。翌23日には、熱帯低気圧内部で強風が確認され、「熱帯低気圧キット」と命名されました。

発達

熱帯低気圧は北西に進路を変え、同日15時にはヤップ島付近で台風4号となりました。その後、急速に発達し、6月24日から25日にかけて中心気圧が965ヘクトパスカルから914ヘクトパスカルまで低下。6月26日15時には中心気圧が880ヘクトパスカルに達し、1951年以降で5番目に強い台風となりました。合同台風警報センターは最大風速を87.5メートル毎秒と推定しましたが、これは過大評価であったと考えられています。

その後

6月26日の再調査では、台風4号の最低気圧は912ヘクトパスカルと記録されました。その後、台風は北北東に進路を変えながら勢力を弱め、6月28日に日本の本州南東沿岸に接近。東京の東約155キロメートルを通過しました。6月29日にはトロピカルストームに弱まり、同日15時には温帯低気圧に変化。アメリカ海洋大気庁は6月30日に消滅したとしましたが、気象庁は7月3日まで北大西洋を進行したと分析しています。

被害

台風4号は日本に上陸しなかったものの、広範囲にわたって深刻な被害をもたらしました。

雨と風

箱根や伊豆半島では総降水量が400ミリメートルに達し、福島県から静岡県までの広範囲で200ミリメートルを記録。この大雨により、各地で地滑りや洪水が発生し、甚大な被害をもたらしました。

浸水被害

2015年版の『理科年表』によると、128041棟が浸水し、そのうち433棟が損壊しました。『消防白書』では、床下浸水107449棟、床上浸水26670棟、一部破損172棟、半壊138棟、全壊113棟、流失3棟と記録されています。

人的被害

『理科年表』によれば、死者64名、行方不明者19名、負傷者91名。『消防白書』では、死者63名、行方不明者7名、負傷者96名とされています。神奈川県では特に被害が大きく、38名が死亡しました。災害救助法は、青森県、宮城県、福島県、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県の7都県の31市区町村に適用されました。

その他の被害

道路の崩壊や地滑りによる交通遮断も発生し、東京と大阪を結ぶ480キロメートルの鉄道は12時間不通となりました。東京の地下鉄網も浸水により機能停止し、約200万人が立ち往生しました。また、台風通過後には、宇都宮市付近でトンネル修理中の作業員25名が、発電機による一酸化炭素中毒で死亡する事故も発生しました。

その他

台風が過ぎ去った後、ビートルズが来日し大きな話題となりました。この来日は「ビートルズ台風」とも呼ばれました。

関連情報

関連項目

木ノ俣隧道事故

外部リンク

デジタル台風：台風196604号（KIT）- 総合情報（気圧・経路図） – 国立情報学研究所（北本朝展）

出典

* 消防庁編『消防白書 昭和42年版』大蔵省印刷局、1967年

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