昭陵 (唐)

昭陵について

昭陵（しょうりょう）は、中国の唐時代の太宗である李世民（598年 - 649年）の陵墓として知られています。この陵墓は、陝西省の西安市の北にある九嵕山（きゅうそうざん）の麓に広がる唐の十八陵の一つであり、唐代の宮殿の遺構として最大規模を誇ります。

歴史と設計

この陵墓の設計は、閻立徳と閻立本という兄弟によって行われ、造営は貞観10年（636年）から開始されました。最初は長孫皇后のために建設が始まりましたが、最終的には太宗自身もこの地に埋葬されました。昭陵は、一般的な墳丘ではなく、自然の山を利用した構造になっている点が特徴です。これは、太宗が民衆の労力を軽減することを意図しているという伝説があります。

陪葬墓と文化財

昭陵の周囲には、乱冢坪と呼ばれる地区が広がっており、ここには約200基もの陪葬墓が存在します。これには初唐時代の皇族や官僚、また、名将たちの墓も含まれています。中には功績を残した魏徴や李靖、李勣、房玄齢などの名臣の墓も見られます。また、太宗の死去の際には王羲之の著名な作品『蘭亭序』が埋葬されたと言われています。これらの陪葬墓の中には、当時の文化を知るうえで貴重な壁画も残されています。

しかし、歴史の中で昭陵もまた試練を受けました。五代十国の時代の後梁では、軍人の温韜がここを盗掘し、多くの貴重な品々が持ち去られたのです。この事件については、『南唐書』に登場する鄭元素の伝記にも詳細が記されており、昭陵の内部の様子が伺えます。

現存する遺構と文化的意義

現在、昭陵の地上にはわずかに玄武門や摩滅した石碑の一部が残されています。その中でも特に知られているのが、太宗が愛した名馬を石に刻んだ「昭陵六駿」です。これらの馬は、太宗が隋末の戦乱の中で乗っていたもので、それぞれに「白蹄烏」「拳毛騧」「颯露紫」「特勤驃」「青騅」「什伐赤」という名前があります。これらの馬たちは、特に戦いの際に太宗が乗っていたものであり、その姿は石に美しく刻まれています。

これらの馬のうち、4匹は西安の碑林に収蔵されていますが、「颯露紫」と「拳毛騧」の2匹はアメリカ・フィラデルフィアに持ち去られました。これらの石が現在ひび割れを抱えているのは、運搬の際に分割して運んだためだと伝えられています。昭陵には、欧陽詢による「温彦博碑」や褚遂良の「房玄齢碑」などの碑文も多く残されています。

博物館と保護

1979年に昭陵博物館が竣工され、訪れる人々にこの貴重な文化遺産を広く伝える役割を果たしています。また、昭陵は全国重点文物保護単位として指定されており、その歴史的価値は今も高く評価されています。昭陵は、唐代の文化や歴史を理解する上で欠かせない場所であり、多くの観光客や研究者が訪れる重要な地点です。

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