房玄齢

房玄齢（ぼう げんれい）

房玄齢（578年 - 648年）は、中国唐代初期の政治家であり、歴史家です。字は玄齢、本名は喬。斉州臨済県（現在の山東省済南市付近）の出身です。彼は、唐の太宗李世民の重要な謀臣として、杜如晦と共に、唐王朝の基礎を築く上で大きな役割を果たしました。

生涯

房玄齢の父である房彦謙は、隋に仕え、司隷刺史を務めました。房玄齢は、開皇15年（595年）に科挙に合格し、官吏としてのキャリアをスタートさせました。当時、吏部侍郎であった高構は、房玄齢の才能を高く評価し、将来の大成を予見したと伝えられています。

隋末の混乱期に、房玄齢は唐に身を投じ、武徳4年（621年）には、秦王であった李世民の幕僚である秦王府十八学士の筆頭に任命されました。彼は、李世民を補佐し、その知略と政治手腕を発揮しました。高祖李淵が天下統一を果たした後、房玄齢は人材の確保に尽力し、杜如晦を見出して李世民に推薦しました。房玄齢と杜如晦は、その優れた才能から、皇太子の李建成に警戒され、一時的に秦王府への立ち入りを禁じられたこともありました。

その後、李世民は、房玄齢と杜如晦の協力を得て、玄武門の変を成功させ、皇位を継承しました。房玄齢は、貞観4年（630年）に尚書左僕射（筆頭宰相）に任命され、国政の中枢を担うことになりました。また、監修国史として、『北斉書』『梁書』『陳書』『隋書』『周書』といった正史の編纂を総監し、貞観10年（636年）に完成させました。さらに、『晋書』の編纂にも携わりました。

晩年は病気がちとなり、太子太傅に任じられ、貞観22年（648年）に亡くなりました。死後、太尉・并州都督を追贈され、昭陵に陪葬されました。

年表

開皇15年（595年）：科挙に合格。隰城県尉に任官。
武徳4年（621年）：秦王李世民の幕僚となる。
貞観元年（627年）：中書令に任命。
貞観3年（629年）：尚書左僕射・梁国公に封じられる。
貞観13年（639年）：太子太師に任命。
貞観14年（642年）：司空に任命。

子女

房玄齢には、房遺直、房遺愛、房遺則の三人の息子がいました。

房遺直：汴州刺史に任命。
房遺愛：太宗の娘である高陽公主を娶るも、荊王李元景の擁立を謀り失敗、処刑された。
房遺則：荊王李元景の娘を娶った。

評価

房玄齢は、杜如晦、魏徴らと並び、唐代を代表する名政治家の一人として高く評価されています。特に、貞観の治を記録したとされる『貞観政要』には、太宗の諮問に答える人物としてしばしば登場します。太宗が「創業と守文、どちらが難しいか」と問うた際、房玄齢は「創業が難しい」と答えた逸話は有名です。

出典

『旧唐書』巻66 列伝第16「房玄齢伝」
『新唐書』巻96 列伝第21「房玄齢伝」

関連項目

ジャッキー・チェン：房玄齢の子孫と自称している。

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