時をかける少女 (1983年の映画)

映画『時をかける少女』の概要

『時をかける少女』は、1983年7月16日に公開された日本映画で、監督は大林宣彦、主演は原田知世です。この作品は、筒井康隆による同名の小説を初めて映画化したもので、大林監督の「尾道三部作」の一環として位置付けられています。ロケは主に広島県の尾道市で行われ、一部は竹原市でも撮影されました。併映として『探偵物語』がありました。

本作は、芳山和子という高校生の少女が、スキー教室で不思議な体験を経て、タイムリープの能力を得るというストーリーです。この不思議な経験によって、彼女の青春は大きく変わっていきます。また、原田知世はこの役で第7回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。

ストーリー概要

物語は、高校1年生の芳山和子がスキー教室に参加するところから始まります。ある晩、幼馴染の堀川吾朗と同級生の深町一夫と共に過ごしていると、不思議な出来事が次々に起こり始めます。特に印象的なのは、和子が実験室で白い煙を嗅いで気を失い、目覚めると時間が戻っているという体験です。続けて、和子は異なる現象に直面し、その中で深町一夫の正体が未来からやってきた薬剤師であることを知ります。

和子は一夫に恋しながらも、彼が未来に帰る運命にあることを理解し、最終的には彼を忘れることを選ぶことになります。物語の結末では、11年後に和子が大学の研究者として働く姿が描かれ、一夫のことを思い出す場面で締めくくられます。

キャスト

• - 原田知世（芳山和子）: 明朗で夢見がちな高校2年生。
• - 高柳良一（深町一夫）: 和子のクラスメイトで、実は未来からタイムトラベルしてきた薬学博士。
• - 尾美としのり（堀川吾朗）: 和子の幼馴染で、彼女を支える存在。

製作背景

本作は、薬師丸ひろ子が休業中に角川映画が新しいヒロインを探して行ったオーディションで発掘された原田知世の初主演作です。大林監督は、この映画を原田にプレゼントするつもりで作り上げました。もともと原田は芸能界に入る予定ではなく、普通の女の子として生きてほしいという思いがあったのです。

撮影は28日間にわたり、緊迫したスケジュールで行われました。特に尾道の美しい風景を最大限に生かすため、スタッフは大変苦労したと言います。大林監督は、原田の独特の存在感を引き出すために、様々な技術的手法を駆使し、特にタイムリープのシーンでは多くの映像技術を融合させました。

映画の影響

公開当初はあまり期待されていなかった本作ですが、多くの若者がフレッシュな原田知世に惹かれ、興行収入は28億円を記録しました。また、作品はその後も多くの映画・ドラマに影響を与え続けています。特に恋愛とSFの要素を見事に組み合わせた点は後の作品においても多く取り入れられました。

原田知世の歌う主題歌「時をかける少女」も大ヒットし、彼女のアイドルとしての地位を確立するきっかけとなりました。

総括

『時をかける少女』は、青春と夢、不安や愛を描いた感動的な作品です。その独特な視点から描かれる時間旅行のストーリーは、観る者に深い感動と思索をもたらします。原田知世の純粋な表現と、大林監督の艶やかな映像美が見事に融合したこの映画は、今もなお多くのファンに愛され続けています。

もう一度検索