時を超えた子供たち

時を超えた子供たち：ドクター・フーの根幹を揺るがす衝撃の真実

『ドクター・フー』第12シリーズ最終話「時を超えた子供たち」は、2020年3月1日にBBC Oneで放送された、シリーズ全体に衝撃を与えるエピソードです。クリス・チブナル脚本、ジェイミー・マグナス・ストーン監督による本作は、前話「サイバーマンの再興」に続く二部作の後編として、469万人の視聴者を獲得しました。しかし、その内容は批評家から賛否両論を巻き起こすことになります。

タイムロードの起源とドクターの秘密

物語は、マスターが13代目ドクターを故郷のガリフレイに誘拐するところから始まります。マスターはガリフレイのマトリックス、タイムロードのデータベースにアクセスし、「時を超えた子供」という驚愕の事実をドクターに明かします。「時を超えた子供」とは、タイムロードの祖先であるテクテユンが発見した、並外れた再生能力を持つ子供のこと。テクテユンはその能力を研究し、12回まで再生できるタイムロードという種族を生み出したのです。そして、衝撃の事実として、全てのタイムロード、つまりマスター自身も「時を超えた子供」の遺伝子を受け継いでいることが明かされます。この屈辱的な真実が、マスターの狂気に拍車をかけたのです。

さらに、マスターはドクターこそが「時を超えた子供」であると告げます。記憶を失っていたドクターは、過去にグロスタシャーで出会った女性ルースとの出会いをきっかけに、自身の初代以前の記憶、そして「サイバーマンの再興」で登場したブレンダンが初代以前の自身の再生体であることを思い出します。ブレンダンの記憶を消去した養父と恩師は、テクテユンとタイムロードのガットだったのです。

マスターの陰謀とドクターの決死の戦い

精神世界でルースの力を得たドクターは、グレアムやライアンら仲間と合流します。一方、マスターはサイバーマンと同盟を結び、ガリフレイに侵攻させます。孤高のサイバーマンを殺害し、そのサイベリアムと融合することで、マスターは全サイバーマンの支配者となります。

絶体絶命の状況の中、ドクターは殺されたタイムロードの遺体をサイバーマン化してマスターに対抗します。壮絶な戦いの末、コ・シャルムスと共にマスターは爆発に巻き込まれ消滅します。ドクターとコンパニオンたちはそれぞれ脱出しますが、ドクターは突如現れたジュドゥーンに逮捕され、小惑星の刑務所に投獄されるという衝撃的な結末を迎えます。

シリーズの歴史と繋がり

「時を超えた子供たち」は、過去の『ドクター・フー』シリーズと密接に繋がっています。ガリフレイのマトリックスは、クラシックシリーズから登場するタイムロードのデータベースであり、「ドクターの時」や「天国での死」、「戦場と二人のドクター」などでも言及されています。「時空の果てで」では、死亡したタイムロードの魂がマトリックスに保存されている様子が描かれています。

ドクターが自身の記憶をたどるシーンでは、新シリーズとクラシックシリーズの様々なドクター、コンパニオン、敵が登場し、特に「モービアスの脳」に登場した、初代以前のドクターと思われる顔が「時を超えた子供」として明らかにされます。また、「時空の果てで」で示された時空を脅かす「ハイブリッド」の存在も、マスターとサイベリアムの融合という形で示唆されていますが、その繋がりは明示されませんでした。

製作と反響

「時を超えた子供たち」は、前話と同様にジェイミー・マグナス・ストーンが監督を務め、ジュリー・グラハムとイアン・マッケルヒニーがゲスト出演。過去のドクター役としてジョー・マーティンも出演しています。イギリスでの放送後、視聴者数は378万人を記録しましたが、新シリーズでは最低記録を更新しました。

アンドリュー・カートメルなどの批評家からは、シリーズの設定の根幹にメスを入れた大胆な試みと評価する声がある一方で、説明過多や「ドクター・フー」の神秘性を使い果たしたという批判も上がっています。

「時を超えた子供たち」は、ドクター・フーの歴史を塗り替える衝撃的なエピソードとして、現在も多くの議論を呼んでいます。その大胆な設定変更と、ドクターのアイデンティティに関する謎は、シリーズの未来に大きな影響を与えることでしょう。

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