時枝務

時枝務について

時枝務（ときえだ つとむ）氏は、1958年生まれの日本の考古学者です。歴史考古学、特に宗教考古学を専門とし、山岳信仰遺跡に関する研究で知られています。現在は、立正大学文学部史学科の教授として教鞭をとっています。

専門分野と研究テーマ

時枝氏の専門は歴史考古学と宗教考古学であり、特に山岳信仰遺跡から出土する遺物の研究に力を入れています。山岳信仰は、日本古来の自然崇拝と仏教が融合した宗教観であり、その遺跡は歴史と文化を理解する上で重要な手がかりとなります。時枝氏は、これらの遺跡の発掘調査や出土品の分析を通して、古代から近世にかけての山岳信仰の変遷を解明しようとしています。

略歴

1980年に立正大学文学部史学科を卒業後、1984年には同大学大学院文学研究科史学（考古学）専攻の博士後期課程を中退されました。大学院時代には、考古学者の坂誥秀一氏に師事し、考古学の研究手法や思想について深く学びました。2005年には、「修験道の考古学的研究」というテーマで文学博士の学位を取得しています。これは、時枝氏の山岳信仰遺跡研究における重要な業績の一つです。

大学院修了後は、東京国立博物館で研究員として活躍しました。1989年に有史室員として入館し、その後、主任研究官、展示調整室長などを歴任しました。博物館では、文化財の調査研究だけでなく、展示や教育普及にも携わり、考古学の普及に貢献しました。

2006年からは立正大学に戻り、文学部史学科の助教授、准教授を経て、現在は教授として学生の育成に力を注いでいます。

主な著書

時枝氏は、数多くの著作を発表しています。

『修験道の考古学的研究』（雄山閣、2005年）：博士論文をまとめたもので、修験道の歴史と信仰を考古学的に分析した画期的な研究書です。
『百練鉄刀とものづくり』（雄山閣、2008年）：古代の鉄器製作技術に焦点を当てた研究書です。
『山岳考古学 山岳遺跡研究の動向と課題』（ニューサイエンス社、2011年）：山岳遺跡研究の現状と課題をまとめた専門書です。
『霊場の考古学』（高志書院、2014年）：霊場における考古学的な調査と研究の成果をまとめたものです。
『山岳宗教遺跡の研究』（岩田書院、2016年）：山岳宗教遺跡に関する包括的な研究書です。
『山岳霊場の考古学的研究』（雄山閣、2018年）：山岳霊場の遺跡を考古学的に分析したものです。


これらの著書に加えて、時枝氏は、多数の共編著も発表しています。これらの著書は、考古学、歴史学、宗教学などの分野に大きな影響を与えています。

『偽文書学入門』（柏書房、2004年）：久野俊彦氏との共編著で、偽文書に関する研究の入門書です。
『木曽のおんたけさん その歴史と信仰』（岩田書院、2009年）：菅原壽清氏、中山郁氏との共編著で、御嶽山の歴史と信仰について詳述しています。
『郷土史と近代日本』（角川学芸出版、2010年）：由谷裕哉氏との共編著で、郷土史と近代日本社会の関わりについて考察しています。
『近世修験道の諸相』（岩田書院、2013年）：由谷裕哉氏、久保康顕氏、佐藤喜久一郎氏との共著で、近世における修験道の多様な側面について分析しています。
『偽文書・由緒書の世界』（岩田書院、2013年）：山本直孝氏との共編著で、偽文書や由緒書の歴史と社会的な影響について論じています。
『日本の霊山読み解き事典』（柏書房、2014年）：西海賢二氏、久野俊彦氏との共編で、日本の霊山に関する事典です。
『修験道史入門』（岩田書院、2015年）：長谷川賢二氏、林淳氏との共編で、修験道の歴史と変遷について解説しています。
『山伏の地方史 群馬の修験道』（みやま文庫、2017年）：久保康顕氏、佐藤喜久一郎氏との共著で、群馬県の修験道の歴史について詳しく解説しています。

時枝氏のこれらの著書は、研究者だけでなく、一般の読者にとっても、日本の歴史と文化を理解するための貴重な資料となっています。

研究活動と貢献

時枝務氏は、長年にわたり、山岳信仰遺跡の調査研究に取り組み、多くの学術論文や研究報告を発表してきました。これらの研究活動を通して、日本の宗教史、考古学の発展に大きく貢献しています。また、大学での教育活動を通して、次世代の研究者の育成にも力を注いでいます。

まとめ

時枝務氏は、日本の考古学、特に山岳信仰遺跡研究において重要な役割を果たしている研究者です。その研究は、学術的な価値が高いだけでなく、一般の人々にとっても、日本の歴史や文化に対する理解を深めるための重要な手がかりとなっています。今後の更なる研究の発展が期待されています。

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