時津海正博

時津海 正博（ときつうみ まさひろ）

時津海正博は、1973年11月8日生まれ、長崎県福江市（現・五島市）出身の元大相撲力士です。本名は坂本正博であり、東京農業大学を卒業後、時津風部屋に入門しました。彼の最高位は東前頭3枚目であり、身長184cm、体重137kg、血液型はA型です。主な得意技は右四つと寄りであり、趣味には釣りや麻雀、引退後のトレーニングが含まれていました。

人生の歩み

時津海は農家の二男として生まれました。幼い頃から父の影響を受け、宮相撲に参加。小学校では野球に、中学時代には柔道を行っていましたが、相撲部が休部状態だったため、自らの倉庫を稽古場に改造し、相撲を続けました。長崎県立諫早農業高等学校では相撲に専念し、東京農業大学でもその才能を発揮しました。

大学4年生の時、就職を考え、印刷会社や和歌山県庁の仕事を勧められましたが、プロとして活躍したいとの思いから1996年3月に時津風部屋へ入門します。それから約2年後、1998年9月には新入幕を果たしました。

活躍と栄光

時津海はその後、主に幕内中位で活躍。彼の全盛期は2001年から2003年までの期間で、技能賞を3度受賞します。特に2001年7月場所では、千秋楽に勝利し初めての受賞を果たしました。2003年には、11日目に大関栃東を破る活躍も見せています。彼の取り口は巧みで、右四つ左上手の体勢からの寄り切りは圧巻でした。

しかし、彼のキャリアは順風満帆ではなく、最高位は東前頭3枚目に留まり、番付運には恵まれなかったとも言われています。また、2005年には西前頭12枚目で3勝12敗という結果に終わり、十両に陥落しましたが、以降も怪我に悩まされながらも粘り強く取り組みを続けました。

引退と師匠としての道

彼は2007年に突然の現役引退を決断します。これは当時の部屋師匠、15代時津風による暴行事件を受けてのことでした。彼自身はまだ現役を続けたいという強い思いを抱えながらも、引退届を提出し、翌月には師匠としての名跡「16代時津風」を襲名しました。

その後、時津風部屋の復興へ力を注ぎ、数々の弟子を育成しました。時津海は相撲に対する情熱を持ち続け、弟子たちに自主性を重視した厳しい稽古を指導しました。彼は現役時代の体力を維持し、退職後もトレーニングを続け、弟子たちと共に汗を流していました。

不祥事とその後

しかし、時津風としての道は順風満帆ではなく、いくつかの不祥事にも直面します。特に、2020年9月には新型コロナウイルスに関するガイドライン違反が指摘され、その後、麻雀店への出入りが報じられ、2021年に退職勧告を受けることとなりました。これにより、彼は16代時津風としての職務を退くこととなり、部屋の継承も他の親方に委譲されることが決まりました。

退職後も外部に向けた説明を行い、心の整理を進めながら新たなスタートを切ろうとしています。彼の息子たちも相撲界に入ることを目指しましたが、退職後の状況を考慮し、新たな部屋へ進むこととなりました。

取り口とそのスタイル

時津海は「相撲巧者」として知られ、特に右四つの組み手からの寄りが得意でした。彼は出し投げやひねりなど幅広い技を繰り出し、対戦相手を圧倒することが多くありました。しかし、体調の衰えや年齢に伴う影響もあって、終盤は相手との力比べに苦しむこともあったといいます。

結論

時津海正博は、華々しい相撲界の中で活躍し、様々な試練を乗り越えてきた力士です。彼の取り組みは多くのファンに支持され、今もなお相撲界に影響を与え続けています。引退後も部屋の復興や弟子育成に尽力し、相撲界への貢献に情熱を注いでいます。

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