時空の舞踏

『時空の舞踏』(A Collection Of Great Dance Songs)は、1981年11月にピンク・フロイドが発表したコンピレーション・アルバムです。デヴィッド・ギルモアが監修を務め、バンドの人気曲が厳選されています。

このアルバムは、コロムビア・レコードがホリデーシーズンを見越して発売されました。「吹けよ風、呼べよ嵐」や「マネー」など、ピンク・フロイドの代表的な楽曲が収録されています。しかし、いくつかの楽曲はオリジナルとは異なるバージョンで収録されている点が特徴です。

アルバムのタイトルとジャケットのデザインには、ニック・メイスンのジョークが込められています。「アメリカのレコード会社は、ピンク・フロイドをダンスグループだと思っている」という彼の発言が元になり、タイトルが決定されました。ジャケットはヒプノシスのストーム・ソーガソンが手掛け、「カップルがダンスをしているようで、実はしていない」というコンセプトで制作されています。ヒプノシスは同時期に松任谷由実のアルバム『昨晩お会いしましょう』のジャケットデザインも担当しましたが、『時空の舞踏』のジャケットは、彼らが提案した複数の図案の中から最終的に選ばれなかったものが採用されています。

収録されている「マネー」は、1973年発表のオリジナル版ではなく、デヴィッド・ギルモアによって再レコーディングされたものです。これは、発売元のEMIがアメリカでの版権を持つキャピトル・レコードから許可を得られなかったためです。オリジナル版の効果音（硬貨やレジ）とサックスはそのまま使用されていますが、ドラム、ベース、キーボード、ギターはすべてギルモア自身が演奏し、ジェイムズ・ガスリーとの共同プロデュースで制作されました。

「[クレイジー・ダイアモンド]]」は、1975年発表時に2つに分かれていたボーカルパートが繋ぎ合わされ、20分近いオリジナルバージョンから大幅にカットされた10分40秒の短縮版で収録されています。また、「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール]」は、1979年発表の[[アルバム『ザ・ウォール』のオリジナル版に、シングル盤のイントロが追加されたバージョンとなっています。

収録曲は以下の通りです。

1. 吹けよ風、呼べよ嵐 - One Of These Days
2. マネー - Money
3. シープ - Sheep
4. クレイジー・ダイアモンド - Shine On You Crazy Diamond
5. あなたがここにいてほしい - Wish You Were Here
6. アナザー・ブリック・イン・[ザ・ウォール] - Another Brick In The Wall (Part 2)

『時空の舞踏』は、ピンク・フロイドの代表曲を手軽に楽しめるコンピレーション・アルバムであると同時に、一部の楽曲がオリジナルとは異なるバージョンで収録されているという点で、コアなファンにとっても興味深い作品と言えるでしょう。

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