時空警察ヴェッカーD-02

『時空警察ヴェッカーD-02』は、2002年1月から3月にかけてテレビ朝日で放送された特撮テレビ番組です。オリジナルビデオ作品『時空警察ヴェッカー』の続編として制作されました。

概要

当初はビデオパッケージのシリーズ化を企画していましたが、先に『時空警察ヴェッカー』として商品化。その後、テレビシリーズとして実現しました。企画段階では、主人公たちがクロノスーツを着用する変身アクションが想定されていましたが、SF刑事ドラマへの方向転換、過去の作品との差別化のため、素顔の隠れるクロノスーツの設定は省略されました。前作で変身前の制服姿として使用されていたコスチュームを「ヴェックフォーム」という変身後の姿として位置づけ、普段は学生や社会人として生活している主人公たちが、事件発生時に瞬時に変身し、素顔のまま活躍するスタイルとなりました。

主演陣がアイドルであったため、変身シーンを省略することでアイドルファンが離れるのを防ぐ意図もありました。変身後も素顔で活躍することで、キャラクターの個性やドラマ性を高める効果がありましたが、視聴者からは変身しないことを疑問視する声も寄せられました。最終回では、シリーズの集大成としてクロノスーツの変身シーンが用意されました。

テーマ

シリーズの基本テーマは、時間犯罪・歴史改変の捜査という時空刑事の使命です。これは単なる正義ではなく、「正しい歴史の保守」を意味し、歴史を守るためには人間の死すら見過ごさなければならないという冷徹さが描かれています。第6話では、未来人との接触で自身の死を知ってしまった少女を、歴史を守るために死なせなければならないという、D-02の苦悩が描かれています。このエピソードは、ファンから賛否両論の意見が寄せられました。

特徴

前作の監督を務めた畑澤和也は、本作では原作・監修に留まり、各話ごとに監督を置く形式がとられました。これにより、ホラー、コメディ、時代劇など、バラエティに富んだ作風が実現しましたが、一方で、SF刑事ドラマという当初の作風から逸脱し、視聴者に混乱を招いた部分もありました。また、撮影時間と予算の制約から、物語の舞台を限定し、ハードSFではなく漫画的な作風を目指しましたが、必ずしも成功したとは言えませんでした。

テレビ朝日では、『千年王国III銃士ヴァニーナイツ』を放映していた縁から、本作を『渋谷系女子プロレス』の後番組として深夜枠で放映しました。これは、アイドルを起用した特撮番組が、既存の特撮ファンとは異なる層を獲得できるという期待によるものでした。写真集やトレーディングカードなどの関連商品は、1クールのドラマとしては異例の売れ行きを見せましたが、フィギュアの販売には繋がらず、マーチャンダイジングの面では課題が残りました。

主演の市川由衣、小倉優子は、本作放映後に人気を博し、彼女たちの初期の出演作として本作が注目を集めるようになりました。

2007年には、シリーズ第3弾『時空警察ヴェッカーシグナ』が放送されました。

あらすじ

時間移動技術が確立された22世紀。歴史を改変する時空犯罪を取り締まる時空警察機構DIXに所属する「ヴェッカー」と呼ばれるエキスパート・チーム。その中の6人のメンバーが、時空犯罪の多発する2002年周辺に特別チーム「D-02」として派遣されます。そして2199年、D-02に7人目のメンバーとして新米時空刑事のカナが配属され、時空犯罪に立ち向かう少女たちの物語が始まります。

登場人物

時空刑事カナ / カナ・ゴドー / 後藤カナ: 主人公。D-02に配属された新米刑事。優秀な時空刑事を両親に持つサラブレッドだが、両親が時空犯罪に手を染めたため、汚名返上のために戦う。
時空刑事メイ / メイ・サカキ / 榊明: もう一人の主人公。過去に両親を時空犯罪で失っており、歴史を守ることに葛藤を抱える。カナとは対照的な性格で、反発しながらも親友となっていく。
時空刑事サキ / サキ・ヒュウガ / 日向サキ: D-02のチーフ。行動隊長としてメンバーを率いる。格闘技に精通し、戦闘能力が高い。
時空刑事ハル / ハルカ・ノゾミ / 望見ハルカ: D-02のサブリーダー。サキの補佐役で、メンバーをまとめる。
時空刑事アム / アミ・ムラタ / 村田アミ: 素粒子物理学博士号を持つ天才少女。チームの頭脳であり、マスコット的存在。
時空刑事エリー / EREE-2210-E: 時空警察仕様のアンドロイド。感情を持たないが、自己育成AIにより人間らしい感情が芽生える。
* 時空捜査官ケント / ケント・キバ / 木葉健人: D-02配属の時空捜査官。警視庁の刑事として潜入捜査を行う。

キャスト

市川由衣、小倉優子など、人気アイドルが出演しています。

スタッフ

畑澤和也が原作・監修を務め、複数の監督が各話の演出を担当しました。

主題歌

國府田マリ子が歌う「花」が主題歌として使用されました。

派生作品

小説版『時空警察ヴェッカー ANOTHER EDGE THE NOVEL』や、DVD作品『時空警察ヴェッカーD-02メモリーズ』が制作されました。

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