時間に忘れられた国

時間に忘れられた国

『時間に忘れられた国』は、エドガー・ライス・バローズによるアメリカのSF小説であり、全3部から成る作品です。この作品は、架空の孤島キャスパックを舞台にし、第一次世界大戦の背景の中、未開の地での冒険を描いています。特に「ロスト・ワールドもの」として分類され、過去の恐竜や原始人が生き延びている世界観は、多くの読者を魅了しました。

概要

物語の舞台は、南大西洋にある断崖絶壁に囲まれた孤島、キャスパックです。作品は、最初の部分では潜水艦U33によって島へ訪れる主人公、ボウエン・タイラーの視点で語られます。孤島内では、恐竜や異種族との出会いが待ち受けており、彼は仲間と共に生存をかけた冒険に挑みます。作品の執筆は1917年から1918年にかけて行われましたが、その内容はアーサー・コナン・ドイルの『失われた世界』から着想を得ているとのことです。

シリーズ構成

本作は『太古世界シリーズ』と呼ばれ、創元推理文庫版では全1巻、ハヤカワ文庫SFでは全3巻として刊行されています。さまざまな版が存在し、特に表紙デザインが変更されるなど、読者の関心を集めています。作品の挿絵は、長年にわたり、武部本一郎が担当し続けています。

ストーリー

第1部

物語は、1916年6月3日から始まります。アメリカの造船会社に勤める技師ボウエン・タイラーが、ドイツのUボートに襲われ、生存をかけてサバイバルを繰り広げます。彼は、フランス人女性リスと共に、Uボートを奪い、南大西洋の孤島キャスパックにたどり着きます。この島は、恐竜や原始の人々が生息し、ボウエンたちは生存のために「恐竜砦」を建設しますが、仲間との裏切りやさらなる試練も待ち受けます。

第2部

第1部の終わりで消えたボウエンの伝えた物語は、彼の親友であるトーマス・ビリングズによって引き継がれることになります。トーマスは救出隊を編成し、ボウエンを島から救出しようと奮闘します。しかし、島で彼は新たな愛、アジョールとの出会いを果たし、彼女との生活に心を奪われます。

第3部

物語の三部作の最後は、イギリス人航海士ブラッドリーの視点で語られます。彼は進化の過程での不思議な出来事に遭遇し、ウィールーという謎の有翼人と出会います。物語は、キャスパックの深層へと進み、さまざまな生物の進化の秘密が徐々に明らかにされていきます。

キャラクター

物語の主人公たちには多様なキャラクターが登場します。ボウエン・タイラーは誇り高いアメリカ人技師であり、リスはその勇敢な女性のヒロインです。また、ノブスという犬や、仲間たちも重要な役割を果たします。各キャラクターがそれぞれの葛藤や成長を経て、物語に厚みを与えています。

進化のテーマ

本作の特徴的な設定の一つとして、キャスパックの独自の進化が挙げられます。登場人物は、命懸けの冒険を通じて、進化の過程を目撃し、物語には生物の進化というテーマが色濃く反映されています。島の環境も、進化に大きく影響し、生物と人間の関係が問い直されることになります。

映像化作品

本作品は、多くの映像化が成され、1970年代にはイギリスで2つの映画が公開されました。特に原作に強いアレンジを施した作品で、後年にはさらにビデオ作品も登場しています。

まとめ

『時間に忘れられた国』は、エドガー・ライス・バローズが描く、冒険と進化をテーマにした壮大な物語です。ロスト・ワールドに足を踏み入れる心躍る体験が、読者を待っています。

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