晋山式

晋山式（しんさんしき、しんざんしき）とは

晋山式は、寺院に新しく住職として任命された僧侶が、その寺に入る際に行われる儀式です。この儀式は、新住職が寺の責任者としての役割を正式に引き継ぐことを意味し、寺院にとって非常に重要な行事です。

「晋」という字は「進む」という意味を持ち、「山」は寺を指します。つまり、晋山とは、新しい住職が寺に入り、その職務を始めることを意味します。この儀式は、単に住職が寺に入るだけでなく、その寺の歴史と伝統を継承し、新たな時代を切り開く象徴的な意味合いも持ち合わせています。

宗派によっては、晋山式の読み方や儀式の形式が異なります。例えば、浄土宗では「しんざんしき」、曹洞宗では「しんさんしき」と読むのが一般的です。また、すべての宗派で晋山式が行われるわけではなく、宗派によっては異なる名称や形式の儀式が行われます。例えば、浄土真宗では「住職継承」という言葉が用いられ、日蓮正宗では本山格の寺院でのみ晋山式の用語が使われ、それ以外の寺院では「入院式」という言葉が使われます。

また、住職が退任する際には「退董式」という儀式が行われます。これは、長年寺院を支えてきた住職が、その職を後任に譲ることを示す儀式です。

各宗派における晋山式の状況

宗派によって晋山式の扱いには違いがあります。

浄土真宗：山号を用いないため、「住職継承」という言葉が使われます。これは、浄土真宗が寺院を山として捉える考え方を持たないことに起因します。
日蓮正宗：本山格の寺院である本門寺（三豊市）、下条妙蓮寺、定善寺でのみ「晋山式」という用語が使用されます。それ以外の寺院では、「入院式」という言葉が用いられます。これは、日蓮正宗における寺院の格の違いによるものです。

まとめ

晋山式は、寺院における非常に重要な儀式であり、新住職が寺に入ることを広く知らせ、その責任を継承する意味を持っています。宗派によって名称や形式が異なるため、それぞれの寺院の伝統を理解することが大切です。また、住職の交代は寺院にとって大きな転換期であり、晋山式は、その節目を飾る重要な儀式と言えるでしょう。

関連文献

曹洞宗務局編『曹洞宗務局普達全書』「甲事十四号 能本山貫首晋山式礼ノ事」（曹洞宗務局文書課、明治34年、国立国会図書館蔵書、2016年9月1日閲覧）
六大新報社『六大新報』「晋山式次第」（六大新報社、1960年7月）
曹洞興禅会編『晋山結制法要便覧』（青山社、2002年）
禅学大辞典編纂所編『新版 禅学大辞典』（p.611、大修館書店、2003年）
下泉全暁著『真言宗晋山式次第』（青山社、2010年）

外部リンク

新纂浄土宗大辞典>晋山式
曹洞宗務庁>晋山式
「真言宗の「晋山式」のやり方について詳しく知りたい。」（岡山県立図書館） - レファレンス協同データベース

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