晦日銭

晦日銭（みそかぜに）とは

晦日銭とは、江戸時代に江戸の古町に住む町人たちが、町の運営費用として町年寄に納めていたお金のことです。古町とは、明暦3年（1657年）の大火以前から存在していた約300の町を指し、そこに代々住み続けてきた人々を古町町人と呼びました。

晦日銭の成立

当初、町年寄役所の町方支配事務は各町が分担していました。各町の月行事が交代で町年寄役所に勤務するという仕組みでしたが、この当番制は町々にとって大きな負担となっていました。そこで、町人たちは人員を派遣する代わりに、町年寄役所で「手代」を雇うための給料としてお金を納める方式へと変更しました。この納入金が晦日銭と呼ばれるようになったのです。

晦日銭の役割

晦日銭は、町年寄役所の重要な収入源であり、町の運営を支える重要な役割を果たしていました。町年寄は、各町から集められた晦日銭を基に、手代の給与や町の維持管理に必要な費用を賄っていました。

晦日銭の金額

寛政元年（1789年）における町年寄3家の晦日銭の収入は以下の通りでした。

奈良屋市右衛門：33両
喜多村彦蔵：50両
樽屋与左衛門：31両

この金額からも、晦日銭が町年寄の収入として重要な割合を占めていたことがわかります。

まとめ

晦日銭は、江戸時代の町人社会における自治運営の一端を示すものであり、当時の人々の暮らしや社会構造を理解する上で重要な手がかりとなります。町人たちの知恵と工夫によって、町の運営が円滑に進められていた様子が窺えます。

参考文献

吉原健一郎著『江戸の町役人』吉川弘文館, ISBN 978-4-642-06306-7
* 北島正元著『日本の歴史 18 幕藩制の苦悶』中公文庫, ISBN 4-12-204638-6

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