普及福音教会

普及福音新教伝道会（AEPM）

普及福音新教伝道会（Allgemeiner evangelisch-protestantischer Missionsverein、略称:AEPM）は、19世紀後半にドイツで設立された、日本のプロテスタントに大きな影響を与えた団体です。ドイツ・東アジアミッションとも呼ばれています。

歴史

1884年、スイスの改革派牧師エルンスト・ブースを中心に、K・H・リッターら約30名が、超教派による東洋伝道を目指し、ドイツのワイマールで結成しました。従来の信仰覚醒を目的とした宣教団体とは異なり、キリスト教的文化の伝達に重点を置いた点が特徴です。

1885年、W・シュピンナーが来日し、東京神田で伝道を始め、後に普及福音教会と称されました。シュピンナーはルター派の聖職者として、東京と横浜に滞在するドイツ人のために教会を設立し、牧師に就任。お雇い外国人との交流も深めました。

シュピンナーは、青木周蔵、有栖川宮威仁親王、北白川宮能久親王、桂太郎、品川弥二郎など、日本の財界や政界の著名人とも親交を結びました。1887年には本郷壱岐坂に会堂を建設し、新教神学校を設立。1888年には機関紙『真理』を発刊しました。

1889年には、安川亨と法典教会が日本基督一致教会を離脱し、普及福音教会に加入。その後、オットー・シュミーデル、カール・ムンチンガー、K・M・シラー、E・シュレーダー、J・フンチケルらが来日し、日本のキリスト教界に影響を与えました。特にフンチケルは、無教会派の内村鑑三や塚本虎二と親交を深め、彼らに大きな影響を与えたとされています。

現在は、日本自由キリスト教会として、東京都世田谷区で活動を継続しています。赤司繁太郎などが伝道に関わっています。

神学

普及福音新教伝道会の神学は、チュービンゲン学派の自由主義神学に根ざしています。彼らは聖書を神の啓示として絶対視せず、人間の宗教的記録として捉え、その中にある宗教的・倫理的意義を探求しました。この立場は「新神学」と呼ばれ、当時の日本のプロテスタント教会、特に日本組合基督教会の指導者たちに大きな影響を与えました。聖書批評学を日本に導入したことも、彼らの重要な功績の一つです。

関連項目

ユニテリアン主義
ユニテリアン・ユニヴァーサリズム

脚注

参考文献

高橋昌郎『明治のキリスト教』吉川弘文館、2003年
中村敏『日本キリスト教宣教史』いのちのことば社、2009年
* 『総説キリスト教史』日本基督教団出版局、2007年

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