普明寺 (鹿島市)

普明寺の概要

普明寺（ふみょうじ）は、佐賀県鹿島市にある黄檗宗の寺院で、山号は「円福山」と称されています。本尊は釈迦三尊で、多くの参拝者に親しまれています。

歴史と特徴

普明寺は延宝5年（1677年）に設立されました。鹿島藩の藩主である鍋島直朝の長男、断橋（鍋島直孝）がこの寺を開基し、桂厳明幢が初代住職に就任しました。その後、この寺は鹿島藩主の菩提寺として利用されるようになりました。

寺の面積は約1万坪で、京都の萬福寺の建築スタイルを模しており、完成には5年を要しました。参道は、竜の首のように曲がりくねった美しいデザインが施されており、入口には対で配置された竜眼の池があります。楼門をくぐると、回廊に囲まれた中庭に辿り着き、正面には荘厳な本堂が立っています。さらに仏堂、禅堂、方丈、鐘楼など計17の建物が、見事な伽藍を形成しています。歴代の鹿島藩主の墓域も本堂の奥に位置しております。なお、山号「円福山」は、かつて存在した円福寺から名付けられています。

寺院の南側には、原生的な二次林が広がっており、豊かな動植物が観察できるスポットとなっています。特に、佐賀県が選定する「名木・古木」には、樹高21mのイチイガシや、推定樹齢400年の楠、樹高28mのシイ、樹高31mの杉、そして樹高25m以上のムクノキが含まれており、その存在感は圧巻です。

文化財

普明寺には、県指定文化財や市の指定史跡が多数存在しています。例えば、1985年に指定された銅造菩薩形坐像は、65.8cmの高さを持ち、高麗時代の作品とされ、きめ細やかな造形が特徴です。この菩薩坐像は佐賀県立博物館に寄託され、一般の方々が見ることができます。

また、普明寺には「普明寺の金木犀」というかつての巨木もありました。この木は1927年に国の天然記念物に指定されたもので、高さ約15m、幅約18m、有幹回りは3.5mもありました。しかし1985年の台風で倒れてしまい、現在はその子木が存在しています。この木は元禄の時代に桂巌によって植えられたと伝えられており、毎年秋にはその香りが境内一帯に広がっていましたが、今はその面影のみが残っています。

所在地

普明寺は、佐賀県鹿島市大字古枝字久保山に位置し、訪れる人々に静寂と歴史を感じさせてくれる特別な場所です。

美しい建物と豊かな自然、貴重な文化財が融合するこの寺は、多くの人々の心の拠り所として、今も重宝されています。

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