景浦將

景浦將：伝説の闘将の生涯

1915年、愛媛県松山市に生まれた景浦將は、日本プロ野球史上に名を刻む伝説的な選手として知られています。外野手、投手、内野手とマルチな才能を発揮し、その圧倒的な打撃力と強肩から「闘将」の異名を取った彼は、阪神ファンからは「零代ミスタータイガース」とも呼ばれています。

少年時代と松山商業時代

材木商を営む家庭に生まれた景浦は、少年時代は剣道に打ち込み、その鍛錬が後の長打力の土台となりました。松山商業学校に進学後も剣道部に所属していましたが、3年生の時に野球部へ転向。持ち前の才能を開花させ、選抜中等学校野球大会では優勝、全国中等学校優勝野球大会では準優勝と輝かしい成績を残します。特に、選抜大会決勝では見事な活躍で勝利に貢献した一方、夏の甲子園決勝では負傷しながらも最後まで戦い抜く姿は、彼の不屈の精神を示すものとなりました。

立教大学時代とプロ入り

松山商業卒業後は立教大学に進学。1年生ながら公式戦で活躍し、投手としては4勝1敗の好成績を収めます。在学中は母校へも度々訪れ、後輩への指導にも熱心でした。しかし、大学卒業を待たずに大阪タイガースに入団。入団の経緯には諸説ありますが、多額の借金返済のためであったと言われています。

タイガースでの活躍

タイガースでは、圧倒的な打撃力でチームの中心を担い、沢村栄治らと数々の名勝負を繰り広げました。投手としても活躍し、1936年秋季リーグでは最優秀防御率と最高勝率を獲得するという、前人未到の記録を達成。さらに、1937年には首位打者、打点王にも輝き、タイガースの日本一に貢献しました。その打撃力は、甲子園球場においてラッキーゾーン設置以前の最多となる4本の場外本塁打という記録にも表れています。

戦争と最期

1939年と1944年に応召され、二度目の応召後はフィリピン・ルソン島で戦死。飢餓の中で食料調達に出かけたまま行方不明となり、帰還することはありませんでした。戦死公報には「1945年5月20日、フィリピン・ルソン島のカラングランで戦死」と記されていますが、部隊の所在地記録とは食い違い、詳細は不明です。

人間性とエピソード

景浦は、大食漢として知られ、数々の逸話が残されています。一方で、繊細で仲間思いの優しい一面も持ち合わせていました。しかし、昇給問題や監督人事に対する不満から、故意にプレーを怠ることもあったようです。

才能と評価

景浦の才能は、打撃力、投球力、そして強肩と多岐に渡りました。投手としては、重いシュートが武器で、打者を圧倒するほどの力がありました。彼のプレーは、当時の映像記録からもその凄まじさが見て取れます。1965年には野球殿堂入りを果たしており、その功績は現在も語り継がれています。

まとめ

景浦將は、類まれな才能と不屈の精神で数々の偉業を達成した、日本プロ野球史上に輝く伝説の選手でした。彼の生涯は、華々しい活躍と悲劇的な最期、そして人間性の複雑さを兼ね備え、多くの人々に今もなお強い印象を与え続けています。彼の存在は、野球史だけでなく、日本の歴史における一つの重要な出来事として記憶されています。

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